第3話「仲間の女神様がポンコツだなんて」

「さてまず始めに必要となってくるのが」


「私へのご褒美であるケーキですね!」


 とりあえず俺はサハポンこと、このポンコツを蹴った。


「いったあ! 信じられません。こいつ女神を蹴りましたよ!」


「元だろ。ポンコツは黙って聞いてろ!」


「ぐぬぬ……」


「いいか、FPSの世界の必要なものと言えば何と言っても武器と装備だよ」

「食料よりもまずはこれだ。パンツ一丁は嫌だしな」


「それが一番の理由の癖に」


「ちげえよ! 俺はさっき思い知ったんだよ

 この世界、力なき者はすぐ死ぬと……な」


「ひゅー。かっこいい、中二病ー!」


「お前もう黙れよ。いい加減にしないとまた一人だぞ」


「ひいいい、ごめんなさい!」


 本当に心細かったんだなこいつ……。


「まあいいよ……」


「……でもどうやら武器と装備は売っているみたいですが、

 私達この世界のお金もってないですよ?」


「大丈夫、危険地域に行けばNPCを殺るとランダムドロップが、

 そしてプレイヤーを殺るとなんとそいつの持っていたもの全部がゲットできるらしい」


「そして俺はさっき三人のプレイヤーを殺った。

 それ、拾いに行くぞ」


「え、危険地域にいくんですか?  力なきものは死ぬって……」


「大丈夫、さっきのおっさんのハンドガンはあるから」


「あ、そうですか。じゃあお気をつけて、私はここで貴方の無事を祈っています。

 柚木さんに幸あれ!」


「お前も、行くんだよ」


 俺一人だけがまた死にかけるのはごめんだ。道連れだ。


「い、いやだ行きたくない、怖いのは嫌です」


「チャンス or ロンリー ?

 ここで生き延びるチャンスを得るか、孤独死するか選びな」


「くそー! 行けばいいんでしょ、行けばー!」


「素直でよろしい」




 そうして俺達は先ほどの危険地帯に向かって歩いていた。


「なあサハポン、なんか使える魔法とかないのか? 一応元女神なんだろ」


「サハポンって言うな! ……うーん。女神スキルは没収されましたからね。

 あ、でも私の一番練習した得意技ならまだ使えるかも!」


「お、まじで! やってみてよ!」


「よーし、行きますよ!」


「……汝、我は光導く者。汝、我は祝福をもたらす者。今ここに神の奇跡を至らしめん」


 おおお! なんかすごそうだぞ!

 どんな奇跡を起こすって言うんだ?


「いでよ! エターナル、ライトー!」


「うおおおお、眩しいいいい」


 サハポンが詠唱を唱え終ると

 辺り一体は一瞬、ものすごい光に包まれた。


「ふう……。やはり私の後光がナンバーワンですね。

 女神スキルを没収されたので一瞬しか光れませんが。」


「って……。光るだけかよ!

 とんでもない魔法攻撃とか回復魔法がでると思ったよ!

 このポンコツ! 光り方だけ練習してたのかよ!」


「ポンコツじゃないです! 私は女神の中でも一番の光なんですよ !」


「それで、どーやって敵を倒すんだよ!」



 そうやっていがみ合っている時だった。


「うわあああ、にげろおお」

「また一人死んだぞ! 全員武器を捨てて逃げるんだー!」



「なんか前方からたくさん人が走ってきますね」


「ああ、しかも怯えきった顔でな」


 皆、武器を捨てて一目散に街を目指している。

 一体どういう状況なんだ。


「お、おい ! そこの兄ちゃんと姉ちゃんも逃げろ!」


「どうしたって言うんですかー?」


「湧いちまったんだよ。S級NPCのランホーがな!」


「この先の奴らはほとんど全滅だ……!」


 まじかよ。俺、また死地なの……?


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