Into The Game World!!

柚堂ゆゆ

プロローグ「ゲームのやりすぎにはご注意下さい」

 どこだここは。

 早くゲームの続きをやらせろ。


「貴方は死にました。」


 は? なに言ってんだ。

 頭おかしい格好をして頭おかしいことを言っているぞ。


「死因はオンラインゲームのやりすぎによる過労死だなんて……。

 現代の闇のような人ですね。佐倉 柚木(さくら ゆずき)さん。

 あなたパンツ一丁でいつもゲームを為されているんですって?

 面白いですね、ぷぷぷ」


 過労死だと?

 何故俺がいつもパンツ一丁でゲームをやっていることを知っている。


「まあ、せめて次の世界ではその無駄に時間を費やしたスキルを活かせるといいですね」


 ……いや、その前に、この真っ暗な空間と無駄に光輝いてる変な格好をしたこの外人女は誰なんだよ。


「私の担当でこのような理由の死因の方は前例がないので次の世界選びが難しいですね。

 こんな時はダーツで決めましょう!」


 おい、ふざけるな。

 たとえ信じるとしよう。

 俺は死んだ。

 そしてどうやら死んだその後は前世の行いや死に様によって次の転生先が決まる。


 この女の話からそう、仮定できる。

 正直何言っているんだって話だが、もし、もしも本当なら、


「ふざけんなよ! 黙って聞いていれば女神様?

 だかなんだか知らんがダーツで転生先選ぶなんて絶対俺達の世界のテレビの影響受けてるだろ!」


 ダーツで天国か地獄かを選択させられるなんて堪ったものではない。


「しっかり選べよ。仕事しろこの野郎!」


「えー、一回やってみたかったんですー

 貴方のような変な人以外にはこんなことしないですよ?全能神様から怒られたくないし」


「ということで、私ダーツ投げます!」


「や、やめろ! っておい、お前の標的ほとんどの面積地獄じゃねえか。

 考え直してくれ!」


「考え直しません。あ~わくわくする! えいっ!」


「ああ~」


 女神もとい糞女が投げたダーツは放物線を描いて八割が地獄マスの標的目掛けて飛んで行った。


 それはそれは今までにないくらいスローモーションのように感じた。


 ……しかしさすがにダーツをキャッチするには柚木の身体能力は追いつかなかった。


「っちぇ、よかったですね! 地獄には奇跡的に当たりませんでしたよ!

 なんて書いてあるのか、当たった先のマスが小さくて分かりずらいですねー」


「お、おい。お前今、ちぇっって言ったか? 言ったよな? ふざけるなよ?」


 信じられない。こいつは完全に地獄を狙っていやがったな。

 ノーコン女神でマジで助かった。


「いや、とにかく地獄じゃなくてよかった……。どこに行くんだ俺は。早く教えろや!」


「そんなに急かさないでくださいよ~。今見ますから」


「……ぷぷぷ。貴方にとってある意味地獄よりも地獄かも知れませんね」


「えっ、どこ? どこなの?」


「それでは新しい世界で貴方に祝福のあらんことを! ……っぷ」


「お前、笑いやがったな! こんな奴が死後の女神だなんて間違っているだろ!」


 まだまだ罵声を浴びせようとしたその瞬間、

 突然大きな光に包み込まれ意識が遠のいていくのを感じた。




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