愛しい莉奈!

『愛しい莉奈!おはよー!チュッ(笑)』


『もう僕と莉奈は既に運命共同体となっておりますので、どうか最後までお付き合いください(笑)』


『明日の晩は抱っこして、腕枕して寝てあげるからね』


『莉奈!僕にもチュッは?(笑)』


『まだお風呂かな?一緒に入ろう! 今度ね!って…もう僕と莉奈は、何でもありでしょ?(笑)』


『また湯船に浸かって、ちょっと恥ずかしそうな顔のかわいい莉奈を見せてね! チュッ』




5月の連休中、僕は莉奈ちゃんにLINEでこういった内容を立て続けに送っていた。莉奈ちゃんは昨日から名古屋と大阪へイベントのため出かけた。時刻は夜の9時を回った。今はイベントを終えてホテルにいるのだろう。つーか義妹がいないと寂しい。莉奈ちゃんは明日東京に戻るが、ここ最近は仕事が忙しくてまともに話す機会がない。




『お兄ちゃん、気持ち悪い。ドン引きだよ・・・』




しばらくして、莉奈ちゃんから返事がきた。正直凹んだ。そして、『ま、風呂入ってたのは正解だけどね』という返事も来ていた。




◇ ◇ ◇




翌日、莉奈ちゃんは東京に戻った。しかし、戻った時にはもう夕方。結局、莉奈ちゃんが戻ってきた後、家族で食事に行くことになった。向かった先は近所のファミリーレストラン。ここで5人、夕食を食べる。僕はピザセットを、莉奈ちゃんはカルボナーラセットを注文した。




夕食が終わり、帰宅した。僕は莉奈ちゃんを呼び出す。




「お兄ちゃん、何か用?私を呼び出すって珍しい・・・」




莉奈ちゃんは僕にこう言った。僕は、




「莉奈、来週空いてる?」




と義妹に言う。そして、




「うん。日曜なら大丈夫だよ」




と莉奈ちゃんはこう答えた。




◇ ◇ ◇




1週間後の日曜日。この日はあいにくの雨模様だった。これから雨が激しくなるらしい。しかし、僕はこれから莉奈ちゃんとデートをする。義妹も「大好きなお兄ちゃんとデートできる♡」と乗り気だ。




朝食を済ませると、すぐ近くのカラオケボックスに向かった。本当は渋谷か原宿まで出かけるつもりだったけど、雨なので仕方がない。




「2人でフリーお願いします」




僕は店員さんにこう言った。フリーとは言ったが終わるのは夕方。今は朝10時だから、8時間ぶっ通しになる。僕は莉奈ちゃんに「普段、莉奈がどんな歌を歌っているのか聴きたい」と言った。すると莉奈ちゃんは「だったら私もお兄ちゃんが普段、どんな歌を歌っているのか聴きたいな」と言ったので、交互に色々歌うことになった。


そして、そんなこんなで2時間が経過し、昼12時を回った。そろそろ昼食の時間だな。そして・・・




「花ちゃんの声でヤってよw」


「えぇキモイんですけどw」


「いいじゃんいいじゃんw」


「てかなんで知ってんのーw」


「俺オタクだしwwwモエーwwモエーwww」


「うわぁーwww」


「ほら花ちゃんで『舐めてほしいですか?』ってww」


「えぇ~wwはぁーw……w…、舐めてほしいですか?先輩…」


「先輩きましたーwwwwwwww」


「あーもキッモイキッモイwwwww」




食事中、義妹と漫才コントをやっていた。伝わっていた。ちなみに、花ちゃんというのは莉奈ちゃんが演じているアニメのキャラクターだ。ちなみに主人公の後輩キャラ。3年くらい前のアニメだけど、莉奈ちゃんが今までで演じてきたキャラクターで一番有名だと思う。というか莉奈ちゃん、当時はまだ子役事務所にいたんだよな。当の本人は「まさか本当にやるとは思わなかったよ・・・」と言っていたが。


そして食事が終わると、再びカラオケ。お互いカラオケのレパートリーが多い。しかし、朝から夕方までひたすら歌っているとさすがにお互い、喉が悲鳴を上げてきた。




夕方になり2人は帰路についた。お互い喉はガラガラで、しかも雨は大降りだ。帰り道、僕は莉奈ちゃんにこう言った。




「莉奈、もしお兄ちゃんから愛の告白をされたらどうする?」


「うーん、兄妹は結婚できないから断るかな・・・」




軽く凹む。




「そっか・・・ところで莉奈、僕がお兄ちゃんになって良かったと思う?」


「うん。それだけは本当に良かったし、嬉しいと思ってるよ」


「ありがとう。僕も莉奈が妹になって嬉しかったよ。莉奈は僕の大切な妹なんだから、これからもずっと一緒にたいと思っている」




僕の顔が紅潮している。これは予想外だ。心拍数も凄いことになっている。そして・・・




「私、大和お兄ちゃんにこんなこと言われて嬉しいよ・・・これからも莉奈の大切なお兄ちゃんだよ。ずーっと一緒にいようね♡」




家への帰り道、外は大粒の雨が降っていたけど、莉奈は僕に最高の笑顔を送ってくれた。

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