プール!②

売店で飲み物と軽食を買うため列に並んでいた時、後ろから肩を叩かれた。僕はすぐ後ろを振り向く。後ろを振り向くと、ルックスの整った女性がいた。綺麗な長い黒髪となぜか似合う水着姿が特徴的だった。どうやら僕はその女性に肩を叩かれたらしい。歳は僕より年上、美穂姉と同世代かもう少し上だと思う。しかしこの女性、どこかで見覚えがあるような・・・


「そこの君、私と遊ばない?」


その女性は僕にそう言ってきた。


「あの・・・僕になんの用ですか?逆ナンならお断りします」


僕はその女性にそう言う。するとその女性は、


「逆ナンじゃないって。1人でプールだから遊び相手を誘おうと思って・・・」


と言ってきた。そして僕は、


「同伴者いるんでダメです!」


と言った。そして買い物を終えると僕は美穂姉と莉奈ちゃんがいるプールサイドのテーブルに向かうが、その女性は僕の後をつけてくる。


「もしかしてストーカーですか?警察呼びますよ!」


僕は一歩止まり、その女性に言った。すると、


「あなた、桜井大和くんだっけ?声優の松永莉奈ちゃんは知ってるよね?」


とその女性は言ってきた。


「知ってるも何も莉奈は僕の義妹です。っていうかなんで僕の名前を知ってるんですか?」


僕はそう言う。するとその女性は、


「実は私、莉奈ちゃんとはちょっとした知り合いなの。最近、莉奈ちゃんの母親が再婚したのも知ってるわ。桜井くん、もしかして私のこと知らないの?」


その女性の一言で僕は彼女が一体誰なのかわかった。最初からどこかで見覚えのある顔だと思ったが、その女性と会話のやりとりをしていたせいで気がつくのが遅くなった。


「・・・あなた、声優の高柳凛たかやなぎりんさんですよね?」


僕はその女性にこう言った。160cmくらいの身長と長くて綺麗な黒髪。そして一流女優顔負けの顔立ちと特徴のある声。それは高柳凛そのものであった。歳は俺より7つ上だったかな?


「いかにも、私が高柳凛よ。さすがTwitter王にして人気ブロガーの桜井・・・チェリーくんね」


高柳凛。ここ最近は毎クール5本以上アニメに出演し、それもほとんどが主役クラスという売れっ子声優だ。去年ソロデビューをし、今年に入ると写真集も出した。莉奈ちゃんともアニメで何度か共演している。莉奈ちゃんはTwitterをやっていないので、最近僕がTwitterで一番RTリツイートやリプライを送っている声優さんだ。まぁ端的に言えば莉奈ちゃんの次に好きな声優さんである。とはいえ、莉奈ちゃんとは雲泥の差だが。


余談だが、僕は小6の春から「チェリー」という名前でTwitterをやっている。当初は父親のパソコンかiPadでやっていたが、中1の秋にスマホを買って以来本格的にTwitterへのめり込んだ。5年以上Twitterをやって、ツイート数は20万を超え、フォロワー数は1万人を超えている。そしてスマホを買った頃、ブログを始めた。ブログの内容はアニメや声優関係の記事が中心だが、ブログのアクセス数は毎日1000を超えている。




結局俺はその凛さんを連れてプールサイドのテーブルに戻った。真綾と理香ももう戻っていた。


「大和お兄ちゃん、遅いよ!私達これから昼ご飯にしようと思っているのに~しかも勝手に昼ご飯買ってるし!って、あなたは・・・」


莉奈ちゃんは僕にこう言った途端、凛さんの顔を見て一瞬声を止めた。


「莉奈~やっぱ今日も可愛いよ!妹にしたいくらい」


凛さんは莉奈ちゃんにこう言い、莉奈ちゃんに抱きついた。


「桜井くんも羨ましいよ。あの莉奈ちゃんが妹だなんて!」


凛さんは僕にこう言う。そして、


「凛さん、やめてくださいよ~」


凛さんに抱きつかれて困惑する莉奈ちゃん。そして僕達3人のやりとりについていけない美穂姉・真綾・理香の3人。結局、美穂姉・真綾・理香の3人は昼食を買うため売店に向かった。僕もさっき買ったのだけでは足りないので焼きそばを頼んだ。


3人が売店に向かっている途中、凛さんは1人余った椅子に座り、さっき売店で買った昼食を取る。そして僕もさっき買った軽食を食べる。


「莉奈と凛さんって、どういう関係なんですか?事務所違うでしょ」


僕は食事中の凛さんにこう言った。すると凛さんは、


「姉妹の契りを交わした仲よ」


と言った。僕は凛さんの発言に一瞬「?」と思った。しかし莉奈ちゃんが、「お兄ちゃんも真に受けないで!」と言ってくれたおかげで我に返った。そして莉奈ちゃんは、


「凛さんも兄に誤解を与えるようなことを言わないでください!これ以上凛さんのイメージが崩れると困ります。私もあなたのことを尊敬しているんですから!」


と言った。そして凛さんは、


「大和くん、私は少し歳の離れたお姉さんだけどあなたと友達になりたいの。よろしくね」


と僕に言い、LINEを交換した。そして凛さんはプライベート用のTwitterアカウントから僕のTwitterをフォローし、僕もフォローし返した。


しばらくすると凛さんは昼食を食べ終え、昼食を買い終えた3人も戻ってきた。そして僕たちが昼食を取る時、すでに昼食を食べ終えた凛さんは暇そうにスマホを眺めていた。




そして昼食後、美穂姉・真綾・理香の3人は「凛さんって大和と莉奈ちゃんの知り合いだっけ?だったら3人で仲良くしてね」と言いプールへ向かった。そしてほどなくして、僕・莉奈ちゃん・凛さんもプールへ向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る