第7話 普通の人を凄い人にしたければ周りの人間を劣った人にすればいい

「現代日本では普通の人が異世界に行くと凄い凄いともてはやされる」というのもなろう小説においてはほぼ必須事項です。

ゲームが「プレーヤーはその世界にとって特別な存在」であるのと同様になろう系小説の主人公も「その世界にとって特別な存在」でなくてはなりません。

いわゆる「神様からチート能力を授かる」というのはそれをひねりも無く具現化したものでしょう。ドラゴンに転生とかでもいいかもしれません。



この「現代日本では普通の人が異世界に行くと凄い凄いともてはやされる」というのを分かりやすい形で具体化した一つの例が「奴隷」です。

なろう系小説には奴隷が存在している物語は結構多く、それを改める主人公は正直言って少数派という位、奴隷制を肯定しています。肯定まではしてなくてもそういうものだからと割り切ってるのがほとんどです。


その理由は買った奴隷に少し親切にしただけで「私なんかのためにこんなにも優しくしてくれるなんてありがたやありがたや」と感激されるシーンを書くためです。「普通の人を凄い人にしたければ、周りの人間を劣った人にすればいい」というわけで、その「劣った存在」の中でもわかりやすい要素として奴隷が出てきて、奴隷と主人という「主従関係」も主人公の特権の一つとして良く使われております。



他にも主人公が魔物使い(大抵は冷遇されている)なお話もありますがあれも友情ではなく「魔物と人間」という「主従関係」をうまく書くのに便利な要素だからです。なろう系小説に限って言えば「友情、努力、勝利」は「嘘くさい」要素なのです。



話はそれますが、昔のオタク文化において「メイド」や「妹」が一大ブームを築き上げ、メイド喫茶なんていうものまで出てくるくらい流行ったのは、あくまで邪推するしかないのですが


「メイドは基本ご主人様(=主人公、ひいては読者)には逆らわない」

という主従関係、あるいは


「妹にとって兄(=主人公、ひいては読者)は何でも知ってるし体力でも敵わないものすごい存在(特に子供の頃は)」

という特権要素が受けたのではないのかと思っています。


そして奴隷という要素は「メイドと妹のいいとこどり」を目指した結果生まれた物で「メイド+妹=奴隷」という図式が乱暴ではあるものの成り立つのでは。とも思っております。

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