ジジイから見た異世界転移転生もの

あがつま ゆい

第1話 RPGは恐ろしく都合のいい女

いわゆるなろう系、カクヨムでは「テンプレ」というタグが付けられた小説、要は「トラックに轢かれて死んだあと神様から能力を貰ったりチート能力に目覚めて異世界に生まれ変わって無双して女にモテモテ」という物語が産まれ続ける理由、それは彼らにとって「RPGが都合のいい女」だからです。もっと乱暴な言葉で言ってしまえば「ソシャゲメーカーにとっての重課金兵」だからです。



おそらくはそういう物語が受けるのはゲームが好きだとかゲームの世界しか知らないというよりは「自分は一切努力せずに成果(金、地位、名誉、強さ、女など)だけをむさぼりたい」というどす黒い欲望を上手くコーティングするのに現在一番「都合がよい」あるいは「説明が楽」なのが、ゲーム、というかドラゴンクエストや初期のファイナルファンタジーのようなファンタジー系RPGの世界や設定なので、それを「利用して」やろう。というのが正しいのかもしれません。


実際、天文学の発達で火星が注目された時には「ある日突然火星に召喚されたよ! 火星は地球より重力が低いから地球人なら無双できるよ! 悪い奴らをやっつけて美女(人類そっくりな火星人)にモテモテだ!」という小説が結構な数作られた……そうです。

ですので安直な方法でどす黒い欲望を満たす娯楽は昔からあったようです。


正直な話、ゲームが好きでゲームに影響を受けたというのならマリオやソニックのようなアクションゲームを題材にした小説が出来たり、最近の例ではモンハンのようなハンティングアクション(いわゆる狩りゲー)を下地にした小説が出てきたり、あるいはRPGでもポケモンのノベライズと呼べるような小説が出てきてもおかしくないと思います。実際カクヨムではソシャゲを題材にした小説もぽつぽつあるようです。(観測範囲が狭いのでキャッチできてないかもしれませんが)


が、そうした小説が頭角を現さずにハンコを押してるかのように同じようなファンタジーRPGを下地にした小説が産まれ続けるのも彼らにとってゲームが好きなのではなく、ゲームが「都合がいい」からでしょう。実際、「小説家になろう」のサイトには格闘ゲームを題材にした小説なんかもあるらしいのですが正直人気は無いそうです。

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