企画用 人物描写集

いろはの

白い髪のあの人

その人は、髪が白かった。

そういう病気なのか、それともファッションなのか、彼女と話した事が無いから僕には分からないけれど、とにかく彼女は髪が白かった。


でも、それは色素が抜け落ちたような弱々しい無色では無くて、「白」という色で染められたような強さで、それでいて人工的な不自然さの無い物だった。


彼女は、それを隠すでも無く背中までその髪を伸ばし、そして一歩踏み出す度揺らしている。


そういった特異な特徴を持った者がいると、イジメられたり排除されてしまうのが月並みであるが、その美しさと、どこか超然とした態度が、そういった悪意を圧倒しているようだった。


視界の隅に彼女を捉えたと同時に、目の焦点が彼女の方へ移ってしますのは、僕だけではなく、この世の全ての人間がそうであるはずだ。


だけど。こんな恐ろしい、罪深い感情を抱いているのは僕だけだろう。

どんな人間も、彼女にひれ伏すのみで、怖れ以外の感情は抱く事を許されないのだから。


僕はとんでもない怖いもの知らずだ。

でも、それもまた、自然な物として、僕は受け入れる事が出来た。当然だ。あんなキレイな子なんだもの。


つまり、何が言いたいかと言うと、僕は彼女が好きなんだ。


500文字

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