ビッチと少女

中村 立樹

第1話 誰でも

学校帰り、小学四年生の少女はある人の家を訪ねる。大きなマンションのある部屋のインターフォンを鳴らす。


ピンポーン、一回鳴らして見た。この時間なら彼女はいるはずだ。10秒ほど待つと乱れた服を着た女の人が出てきた。


「こんにちは!」

少女は大きく挨拶をする。

「はい、こんにちは。今日は早かったね。」

女の人から返事が返ってくる。私は何も言わず部屋に入る。



彼女からカルピスをもらい、コップに入っているぶんだけ全て飲み干した。

「ごちそうさま!」

少女は元気よく感謝の意を込めて報告をする。


「おかわりいる?」

女の人は聞く。

「大丈夫よ。ありがとう。」

少女は気遣ったくれたであろう女の人に言葉を返す。



女の人はえらく乱れたベッドに腰を下ろした。シーツやら毛布やらがぐちゃぐちゃでなんだか汚い。彼女のベッドはいつもこうである。そしてなんだか生臭い。


「今日は何をしてたの?」

少女は気怠げな女の人に聞いてみた。

「うーん…。プロレスかなぁ。」

女の人は答えた。

「プロレス!」

少女は興奮して言葉を繰り返した。



「最近、クラスの男子がよく休み休憩に友達同士でしてるの!私もしてみたくて!」

少女は興奮冷めやらぬ状態で喋りまくる。


女の人は少し興味を持ったように、

「ふーん。それは男の子同士で闘う?」

と少女に聞いてきた。

「そうよ。」

と少女は答える。



女の人は笑いながら

「じゃあ、私がしてるプロレスとは違うな。私は男の子としかしないもの。」

と少女に言った。

少女はそれを聞き、興奮した。

「すごい!男の子と戦えるくらい強いのね!かっこいい!」

と言った。


女の人は嬉しそうに

「昼より夜の方が強いよ。」

と言った。


「ナイトゲームね!素敵!」

と少女はまたまた続けて言った。


「どこでプロレスをしてるの??」

と少女は女の人に聞いた。

女の人は下を指差し、

「ここ。」

と返した。

少女は驚き、

「お家のベッドで出来るんだ…。」

と呟いた。


女の人は

「学校の教室で出来るならお家でも出来るでしょう?」

と言った。

「確かにそうね!」

と少女は即答した。


女の人は眠たそうに、

「私はもう寝るわ。詳しいことはお母さんとお父さんに聞いてみなさい。」

と眠ってしまった。

「わかったわ。ママとパパに聞いてみる。そのあとクラスの男子を誘って家でやってみるわ。」

と既に寝てしまっている女の人に答えた。


女の人を起こさぬよう、静かに部屋と出て家へ帰る少女。


クラスの男子が持っているというチャンピオンリングを私が持つのもそう遠くない未来のようだ。

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ビッチと少女 中村 立樹 @swim2446

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