第483話美味しい話には要注意
今年もいよいよ大晦日です。
最後の透析を午前中に済ませましたが昨夜から痒みが酷く赤く膨らんだ発疹が出てしまいました。
それで痒みを止める薬を注射してもらってNPOに挨拶だけに顔を出します。
すでに教室は閉まっていて僅か総務に数人出ているだけです。
編集室は昨日に新年号の出荷を終えていてお休みです。
私は昨夜メールを半年ぶりに貰った前の職場の相棒と京橋のいつもの飲み屋で会います。
彼とは同じ懲戒解雇の仲間です。
「いやあ、半年ぶりだな?」
手を上げると何時もの席に座ります。
「体の方はどうですか?」
「いや、副作用で忙しいがいい1年だったよ」
「こちらは大変でしたよ。早く和解して再就職したのですが、前の部長の労働裁判に出て証言したら、彼の在籍中の不正の裁判を起こされて・・・。結局新しい会社の給料の仮差押えをされてまた失業中ですよ」
「またどうして和解したのに?」
「部長が一儲けするから手伝えと」
「また悪い癖が出たなあ」
相棒はこの部長とよくつるんで飲んでいたのです。
「美味しい話には要注意だよ」
「そうですね。新年から就職活動ですわ。NPOはどうですか?」
「いろいろあったけどようやく動き出した感じだな」
懲戒解雇になって膀胱がんになって透析を始めて・・・。
「しぶといですね!?先輩は。労働裁判を見て驚きましたよ」
まるで弁護士と2人3脚で3年半戦いました。
その中で新しい自分の場所を必死で探してきました。
でもまだまだです。
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