第455話勝負の時

理事長選挙の原稿を書き上げてメールで送ります。

さすがに理事長も落ち着かないようで今日は前の理事長を訪問しています。

私は半農半xの教室の砂栽培の温室を覗きます。

教室の生徒が植えたイチゴにもう赤いものがぶら下がっています。

「今日は講義が?」

「はい。朝の時間が終わり昼からもう1本あります」

彼は農業実習の講師をされていたのを私が招いたのです。

「もう何年になりますか?」

「ちょうど2年になりますよ」

「岡山に戻って葡萄園を始められると聞いていましたが?」

「いやあ、嫁に相談したのですがもうそんな元気がないと反対されました。今はこちらで4教室を担当させてもらって安定していますからね?」

やはり歳を取ると安定ですね?

着信が入っています。

「今はいいのですか?」

弁護士からです。

「パソコンに準備書面を流しておきました。債権額の変更は3500万でどうでしょう?」

「それは大きな金額ですね?」

「いえ、後6か月もすると不払いの給与がその金額になるのですよ」

我ながら4年の長さに驚きます。

そろそろ和解時だろうと思います。

そのためにこの金額の変更をします。

「幾らかかります?」

「12万ほどですが?」

今の私にはこの金額は辛いですがやもおえません。

「よろしくお願いします」

勝負の時です。

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