透析の最後の一瞬に足が吊りました。

さっそく馴染みの看護婦さんが飛んできます。

私の足の吊りはここでは有名になっています。

「漢方薬を飲んできました？」

声に出ない頷きです。

「体重を上げた方がいいみたいですね？」

これで透析が始まって２キロも増やしたことになります。

それでも足を引きずりながらＮＰＯに向かいます。

透析後も頑張っていかないと理事になった私の噂が飛び交います。

今日は行政が助成金の飛びこみ検査です。

どうも誰かが告発をしたようです。

すでに行政から来た役人が２人経理の調査を行っています。

横で理事長が困ったように座っています。

私が頭を下げて座ります。

「利益が他のＮＰＯに比べて出ていますね？」

「はい。フリーペーパー事業がかなりの利益を上げています」

「フリーペーパーなのになぜ利益が上がるの？」

「ええ、もちろん無料紙ですが広告料が取れるのです。とくに現在は月２０万部発行ですから」

フリーペーパーは部数が広告料を左右します。

隣にいた編集長がフーリーペーパーを並べます。

「駅にも置いているね？」

「ええ、駅の配布もシニアの会員に有料で手伝ってもらっています」

「ＮＰＯも稼ぐのだなあ」

妙に感心して帰りました。

ＮＰＯも稼がないと続かない時代になっています。

「夕食をしながら最後の詰めをしよう」

理事長が私と編集長に声をかけます。

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