第443話和解の決断

今日から昔の同僚の彼女は賃貸部に出勤を始めています。

私は来月から正社員としてこのNPOの一員になります。

昨夜労働裁判の弁護士から最終の和解条件の内容のメールが流れてきました。

これで4度目の内容の変更です。

会社側も新たな和解条件を付けてきています。

「どうしたのですか?」

腕を組んだままの私の机の側に編集長が椅子を滑らせてきます。

「いよいよ和解の決断をしようと」

しばらくの間私が労働裁判をしていると言うことを内緒にしてきましたが、最近彼女にも説明をしました。

何しろ4年と言う貴重な時間が過ぎました。

でも私にとっては新しい人生の扉を開く準備期間となったように思います。

NPOもこの間に自力で収益を確保することも出来ました。

これは私がサラーリーマンでなかったからできたようにも思うのです。

「各課の長期目標を見たが、具体的な対策はもう少し掘り下げないとな?」

半農半x教室課は私が係わり過ぎて課長のリーダーの素質を摘み取っています。

賃貸課は最近は受動的になり過ぎています。

だが編集室は戦闘的です。

「フリーペーパーから特集を本として出版に付いては第1号は他力本願で成功しましたが、今期はさらに2冊を考えています。ある程度特集段階で本にすると言う準備をすることが必要だと思いました」

「特集段階で担当を置いて本の政策を同時にしてみては?」

今は本の編集に入ってから編集の修正や写真の撮り直しという無駄が多いのです。

「フリーペーパーの広告は思ったより伸びているな?」

「ただ人件費が思ったよりかかっているので、広告代理店を検討しています」

私は今まで顧問的立場で面倒を見てきましたが、これからは責任者として3つの課を見ていく立場になります。

新たな人生のスタートです。

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