第396話隙間を埋める

透析を始める頃は160~180の高血圧でしたが、今は120台が多く立ち眩みの危険があります。

「まだ杖がいりますか?」

「珍しく部屋の虫になっていろいろ考えることがありました」

若手は取材と広告営業に出ています。

「このNPOの役割ってどうなのですかね?」

「今回の改革はまだ半ばのようです。天下りの中心の行政の下請け時代が長かったですからね」

「今まではボランティアでしたからね。初めの頃の原稿って行政のコピペばかりでしたよ。ずいぶん当時の部長と揉めていましたよ」

彼女は私と同じ会社にいて結婚で退職して今はシングルマザーで現在の理事長が編集長で呼んだようです。

「一つ柱は食べていけるということです。ここは乗り越えていかないと存在価値はなくなりますね。でも会社と同じことをしては役割を失います。会社のできない隙間を埋めることですかね」

「これから具体的にするのですね」

「たとえば古民家レストランの彼女に生きざまを編集長は記事にしたい。だけど彼女は料理教室がしたい。これを現実のものに出来るか?」

「それが具体的なこと」

私は教室の予約を押さえ彼女と打ち合わせを重ねカラキュラムを作ります。

「募集が一番の問題だったけど、これは一人IT社長に応援して貰って予想外の24名でキッチンのレンタルも入れて気持ち黒字です。教室利用料はきっちり貰います。でも彼女は古民家レストランの宣伝、こちらはフリーペーパーの記事の付録がついてきますよ」

「積み重ねで作り出すのですね」

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