第319話ツキがない

「調子悪かったのか?」

久しぶりに訪ねたシニアNPOの理事長が入ってきた私に声をかけてくれます。

「最近リンが高くて薬が増えました。ちょっと裁判の方でバタバタしてたんです」

「大変やなあ」

手ずからコーヒーを入れてくれます。

「教室の方はどうですか?」

「何とか講師の先生方が走り回ってくれてな」

「6教室同時は厳しかったですね。私が講師が出来れはよかったんですが」

「君は参謀でいいよ」

「いえ、活躍の場を貰えてうれしいですよ」

「何言うんだ。君は銀行時代から営業のトップで助けられたわな。それから全国ランクの会社でもよく頑張っていたのは聞いていた。そんな君にこのNPOを手伝ってもらえるのは・・・」

「ツキをすべて使ってしまったのですかね?」

「そんなことないさ。でも裁判は早く終わらせたいな」

「そうですが長引く様相です」

そんな時にまた携帯のバイブレターが鳴っています。

相棒の部長からです。

「不動産部長が金を貰って経理課長の証人になるようです」

「それは逆に悪い結果になるぞ」

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