第316話誤った証言

今日は透析が終わってホテルの社長の法廷に出頭します。

4時からということですが、廊下の階段に座っていても30分経っても呼び出しがありません。

法定のドアが開いて総務部長が出てきて驚いたように私の顔を見ます。

「すいませんね」

ホテルの社長の女性弁護士が顔を出します。

「総務部長が出てきましたが?」

「彼の証人尋問が長引いたのです。ホテルの事業の統括を引き継いだのは彼ですね?」

「私が引き継ぎをしていませんが、今ホテルの会社の社長に登記されていますよ」

「彼はホテルの社長と専務が売り上げを抜いていたと証言をしていました。証拠らしきものをいろいろ出してきましたが、こちらが用意していた当時の売り上げ表を提出して質問したら、抜いていた当時の半分に売り上げが落ちているのです」

「彼は全くホテル事業は分かっていないと思います」

「これから辞める頃の売り上げについて質問が出ます」

と言って法定に入ります。

「さっそくですが、辞められる頃の売り上げはどうだったのですか?」 

女弁護士が聞きます。

「私が引き継いで20%ほど売り上げが回復していたのですが、辞めた直後には半分に落ちましたね」

「総務部長の説明は落ちていた売り上げを不正を正し上げたと言うのは嘘になります。ホテルの社長の言うのは経費を低く修正して利益が出ているように見せていたと言うことになります」

どうも総務部長は思いつきで証言したようでした。

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