第308話仕組まれた罠

経理課長から3度の着信がありました。

彼は脱税の主犯にされるのが怖くて会社を逃げ出したのです。

それまで何人の社員をいびり放り出してきたか反省してください。

その後ついつい相棒?の部長が妙に懐かしくて携帯に出ました。

「仕事はどうや?」

「だいぶ慣れましたわ。今トラックに荷物を積む仕事をしてます」

「不動産部長は?」

「この会社では運転手の勧誘や荷受けの営業をしてますわ。昨日経理課長と会ったようですが、もうあの弁護士のところは前の社員が溢れています」

「それで今日はお願いか?」

「さすがに経理課長だけは助けようという気になりまへんわ。部長では脱税のことはさっぱりわかりませんし。でも部長が彼奴ちょっと変になってると言ってましたよ」

今回は社長が相当前から経理課長を国税の生贄にする準備をしていたようです。

専務はそれを察してか経理には一切タッチしていません。

経理課長は自分を守るために仕事を抱えてきたのが今はあだになっています。

「ああそれと工事課長が連絡が取れなくなっているんです」

「使い込みで民事訴訟が起こされていましたね?」

「それが3審で新たな使い込みの証拠が出されて金額も大幅に増えたということです」

この辺りは社長がよく見ていて総務部長に指示をしているようです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る