第294話血圧変動

「どうですか少し慣れましたか?」

看護婦や看護士は毎回変わるので顔と名前が一致しません。

ここでは医院長が針を刺して問診して、繋ぐと最後の止血の時に話をします。

私の血液透析は朝9時からの月・水・金の4時間コースです。

「はい。後10分です。準備に入りますよ」

私の場合体を起こして止血の作業に入ります。

今日は妙に欠伸が出てきてランプが急に鳴り出します。

「血圧が60まで落ちています。気分は?」

「冷や汗が出て、気分が悪く」

「透析中は血圧変動が起こる可能性があります。血圧低下は、一時的な循環血液量の減少によるものが多く、生理食塩水の補充などで対処します。急に気分が悪くなる、冷や汗が出る、生あくびがでる、目の前が暗くなるなどの症状が出ます」

「ドライウエイトを500cc上げましょう」

耳元で医院長の声が聞えます。

今日はしばらくベットで休憩してから帰ります。

また部長からの留守電です。

「一度どうしても会ってほしいんです」

「君だけなら」

部長は私のただ一人の部下でしたが、後ろに必ず不動産部長の影があります。

一度じっくり話を聞く時期かもしれません。

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