第256話緊急入院

「やっぱり会社の事業部が整理するようや。パートの5人に予告解雇の申し出が昨日あったの」

「いよいよか。例の雇用保険の回答はあったの?」

雇用保険がかけられていなかったので、女房に会社に申し出をするように2か月前に言っておきました。

「保険は今遡って申請中と返事があったわ。会社都合も了解したと言ってた」

いよいよまた一つ収入がなくなります。

年金の申請はまだ返事はありません。

これでは労働裁判の相手側の作戦の罠に落ち込んでしまいます。

今日は朝からむかつきが強く弁当を持って電車で農業実習に出かけます。

地下鉄の乗り換えで階段を降りていたところから記憶がなくなりました。

「どうですか?」

病院のあの女医の顔が覗いています。

「救急で来られたので私で対応しましたが、血液検査は済ませました。クレアチニンは9.20となっています。今回は腎性貧血の典型的な症状ですね。めまい立ちくらみ手足の冷え動悸息切れ頭痛足が痛い疲れやすい、顔面蒼白耳鳴り注意力が散漫になるのが特徴の症状です」

「そろそろ観念する時ですね」

「取りあえず入院手続きをしてください」

「長くなりそうですか?」

「明日に落ち着いたら膀胱がんもありますから総合的な検査をして、症状によれば臨時の血液透析を足から行います。この判断は主治医がされます」

ベットで病室に運ばれました。

「ついに透析です!入院となりました」

女房に悲しいメールを流しました。


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