第255話夢と現実
こちらから相棒の部長に携帯を入れる気になりません。
血判書の件がまだわだかまりになっています。
「これ前の会社で受けた古民家レストランのマニュアルです」
昨夜パソコンの中を探し回ってようやく見つけ出しました。
「本格的なマニュアルですね」
「それは会社が別荘地区に作ったもので始めて担当したのですよ。もちろん調理や建物はプロが入っていますが、企画は私が悩んで作りました」
「これは大切に読みます。いつ作れるか分かりませんが」
「小豆島では?」
「オリーブ農園です。まず現場に入って学んでみようと思います。校長にもすでに話は済ませました」
「楽しいですね」
私も40歳には里山で畑を耕してという夢がありました。
でも大きな会社の事件でその機会を失ってしまいました。
帰り道携帯を無意識にとったら相棒の部長の憂鬱な声です。
「今の会社に辞表を出しました」
「また就活ですか?」
「いえ、不動産部長と係長と運送会社の面接を受けます」
「それで何か頼まれてるんじゃないのですか?」
「不動産部の彼女の連絡先は分からないですか?」
「知りませんね」
彼女はそっとしておいてほしいのです。
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