第180話思いがけないとばっちり

相棒の部長の就職が決まったので職業訓練後お祝いで居酒屋で会います。

「まあ一段落だね」

彼は独身ですが、子供のいる女性ともう5年も付き合っているという話を時々聞いています。

「就職をしたら毎月5万ずつ6回で彼女に返すことになってますわ。賃金の仮払い訴訟は進んでいますか?」

「いやどうだか」

待つ身にとっては時間が止まったように感じます。

今まで色々な事件にぶつかって来ましたが、これほど無意味な戦いはないように思います。

「久しぶりに元の不動産事業部で飲み会があっていきました」

「会社の身代わりになったので余程羽振りがいいのじゃないか?」

「それが全く様子が違うんですわ。銀行と元受の運送会社に呼ばれて融資の当面の凍結と運送は減便指示が出たらしいのです」

「だろうな。大手企業の嫌がる事件を起こしたのだからね」

「社員の二人は逮捕の罰金は貸付処理になって給料から引かれていると嘆いています。不動産部長は自宅謹慎で、課長は遠いホテルのフロントに出張です」

「そこまでやるかなあ。また面倒なことになるのでは?」

「どうも社長に進言したのは専務です」

「専務は先月末退職だったのでは?」

「それが今回の逮捕劇で総務課長と専務がまた手を結んだのです。専務は役員を外された名前だけの専務に、課長は総務部長と専務が作ったホテルの新会社の社長に就任したのですよ」

何とも醜い出世欲でしょうか。

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