第136話真実ほど理解されない

近くのファミーリーレストランに入り、私は喉が乾いていてビールを頼みます。

この社長はアルコールが全然飲めません。

「被告だからなあ。今日で3日間缶詰だよ。こちらはH署の知能犯だよ」

「ホテルの方は?」

「もうめちゃめちゃだよ。素人が思いつきで支払いを止めるので、修繕もしてもらえない。髭の専務はまたホテルを回って金を抜いている」

「ところでどうなっているんですか?」

私はある日とんでもない落とし穴に落とされたような気がしています。

「これは親父と本社の社長の因縁なんだ。専務は全くかかわりのない原因だよ。今回の不当解雇もそれに絡んでいると思う」

「でも労働審判で訴えても無理だろうな」

これは今までの裁判の経験で下手に真実を語っても理解されない。

「余計にややこしくなるだろうね。ただ不幸に専務が在籍の時に訴状が届いただけだよ。はっきり言えないけど、本社の社長は私に切り替わった頃からコツコツ失われた権利を取り戻そうと動いていた。息子も知らず作業をしていただけだ。でもこんな話警察では通じないからな。専務も知らないほうがいい」

「どうすれば?」

「事実だけを話せばいい。不当解雇だけに専念すればいい」

「社長は?」

「もう少し親父と社長の仲介をしてみる」

今日はこの辺りが限界のようだ。かなり血圧と血糖値が上がっている気がする。


 

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