第93話社長の要望

会社の中だけでいると足のつりは起こりません。

珍しくホテルの社長がやってきて時計を気にしています。

「昨夜社長から電話があって、1時間ほど話をしましたよ」

「家賃のことですか?」

本社の幹部会で家賃の引き下げが否決されたことは聞いています。

「今から車で本社に送ります」

「では二人に結論を伝えるのですか?」

「いえ、私は入りません。話すことは話したですからね」

車に乗ると運転席がリラックスするのか口が軽くなります。

「幹部会では否決されたと言っていました。でもホテルのことは彼奴らには分からないとも言っていました」

それだけ伝えると、本社前で下してくれました。

本社に入るとにやにやした視線が集まります。

社長室にはすでにコーヒーが二つ並んでいます。

「家賃のことはどこまで続行けれるかと思っていた。あの案は悪くない。このまま続ければ家賃も滞るし、融資の返済も難しい」

数字は誰よりもつかんでいるようだ。

「その代替えとして、実行してほしいことがあるんだよ」

白紙の用紙を出してきてテーブルに広げる。

約1時間にわたる社長の独演です。

「各ホテルの独立採算をシステム化してくれ」

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