第11話手術
入院の前日にやはり無意識にネットを開いていました。
『多発性表在性膀胱がん』これが私の正式な病名です。
「潤性膀胱がんは腫瘍の数が1個、すなわち単発のケースが多いようで、腫瘍の数が増えるほど、また腫瘍のサイズが大きいほど再発の危険性は高くなります。いままでの経験と研究から、膀胱内の再発の危険性は腫瘍の数が2個以上のときは単発のときより約43倍、腫瘍の大きさが3センチ以上のときは3センチ未満のときより約6倍高まることが明らかにされています」
何と再発!この言葉が頭にこびりつきます。潤性膀胱がんとは言い切れないと付け加えられていました。
手術前にもう一度泌尿器科の医師に確認します。
「どういう手術になりますか?」
「膀胱内に内視鏡を入れて、電気メスで病巣を切除することになりますね。麻酔は全身ではなく腰椎のみで、手術にかかる時間も1時間程度なので、身体的負担は少ないと言えます。ただすべてが取れたかどうかはわかりません」
この先生はただという言葉が好きです。
手術は確かにあっという間でした。
ただすべてが取れたという言葉はありませんでした。
手術の後、ベットに乗ったまま病室に戻ります。
天井を見るという機会がないので変な気分です。
4人部屋に着くと、女房の顔があります。
「明日また来るから、何かいるなら考えておいて」
女房はこれからパートの時間のようでした。
会社の携帯を覗いてみましたが、誰からも連絡はなかったようです。
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