異世界の裏切り者

京ちゃんぽん

第1話 転入生

普通の生徒には多分一番来てほしくない日。

何十人、何百人と一緒になってしまった半袖を久しぶりに着る日。

約1ヶ月で完全にだらけてしまった生活習慣のせいで、

とても眠い目をこすりながら家を出る。

少し見ないうちに黒人に近づいた友人を見て愉快に笑っていても、

教室に入れば血まなこになってテキストの空欄を埋めているクラスメイトが

嫌でも目に入ってくる。

ずっと意識をそらしていたモノに現実に引き戻されるのはとても腹立たしいが、

それは自業自得なので仕方なく忘れかけていた自分の席に座り、

残りの空欄を埋める…。

そんな日だった。

藍川高校に5人の転校生ではなく転入生が来たのは。


先生「えー。もう知ってるかもしれんが、

今日からこの学校に5人の転入生が来る。

1人の三年生と3人の二年生、1人の一年生だ。

それでだ!聞いて驚け。その二年生3人とも、この2年3組になった!」

教室内がざわめく。

先生「んじゃ、入って自己紹介しろ〜〜。」

そのざわめきに水を打ったのは長い綺麗な黒髪をたなびかせた少女と

右の前髪をかき上げた黒髪の少年、前髪を左に流した茶髪の少年だった。


永美「神水永美(カミズエミ)です。初めまして。

好きな事は体を動かすことで、嫌いな事はじっとしている事です。

一応コイツと兄弟やってます。」

と横にいた黒髪の少年を指差して言う。

黒髪の少年は

?「おい。なんだよそれ(ーー;)」

と言いながら前に出て自己紹介を始めた。

涼「えっと〜、神水涼(カミズリョウ)っス。

コイツとは兄弟…は合ってるけど、双子です。

好きな事も嫌いな事も、基本的にコイツと一緒っスね。

本当にヤだけど。んじゃ、これからよろしく〜〜。」

そう言って涼は、コイツこと永美に

永美「パクってんじゃねぇーよ。(ㆀ˘・з・˘)」

と言われながら、一歩下がる。

蒼斗「初めまして清水蒼斗(シミズソウト)です。

好きな事は読書で、趣味は情報収集…かな?

永美と涼とは従兄妹です。

これからよろしくお願いします。」

自己紹介を終えた蒼斗は、永美と涼に

永美+涼「そんな堅苦しい挨拶あるかよ〜〜www.ε-(´∀`; )」

と小突かれ、恥ずかしがりながらペコッと一礼する。


先生「よし。自己紹介お疲れ。

それで席なんだが、1番窓側の列の後ろの2個と

その隣の列の1番後ろが空いてる。その3つで自由に決めてくれ。

あ、席替えは夏休み入る直前にやったから、しばらくやらねーからな。」

山田先生の言葉を聞いて、真っ先にスタスタと歩き始めたのは涼だ。

自分の気に入った席をいち早く取りたかったのだろう。

だがその望みは、えり首を引っ張られた時の

首の締め付けが襲って来ると同時にあっけなく散った。

永美「ちょっと待ちな。私が先に選ぶ。」

涼「あぁ?なんでそうなんだよΣ(-᷅_-᷄๑)」

えり首を掴まれていることにイライラしながら涼が振り返って聞く。

その質問に帰ってきたのは長いため息だった。

永美「はぁぁ〜〜…(´Д`) これだから常識無いヤツは…。

この場面はどう考えてもレディーファーストだろ(´・∀・`)?」

その言葉を永美が言った瞬間5秒ほどの静寂が訪れた。

涼「………プッッッwww. いやぁ〜〜これは失礼したね〜〜。

3人の中にレディーなんていなかったもんでwww.(● ˃̶͈̀w˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」

そう言いながら笑いをこらえる涼に蒼斗がため息をつくのと

永美の拳が鳩尾(みぞおち)に食い込むのはほぼ同時だった。










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