パラノイド・インパルス

おイモ

パラノイド・インパルス

 あなたの熱を感じたいって言ったら、君は気持ち悪いと思うかな。

 あなたの声を耳元で響かせたいって言ったら、君は笑うかな。

 あなたの朝を共に過ごしたいって言ったら、君はどう思うかな。

 ねえ、君はどう思うんだ。


 さよならを知りたくてここまで旅をしてきたんだ。常人なら大したことない道のりなんだろうけど、僕にとってはとても険しくて、とても過酷な道ばかりだったよ。この峠を越えて僕はここまで来たんだ。僕は額からにじみ出た汗が顎から滴るくらいに頑張って、いつもより少し熱を帯びながら一歩一歩進み続けて、ペンが握れないくらい手が震えたんだ。なあ、僕にゴールはないって本当なのか。


 本当はまともな生き方なんて少しでもしたくなかった。常に知らない人に追われてるような病的な感覚が欲しかった。女を見るたびに殺して、尻を貪るような狂人になりたかった。歩く人々、いや僕自身が全て君であると思いたかった。生きたくなかった。生きたくなかった。僕を産んだ母は悪くない。僕を育てた父は悪くない。僕を通した社会は悪くない。責任は僕にあって僕自身にはない。生きたくなかった。こんな苦しい思いをするくらいなら生きたくなかった。ごめんなさい。この空気に触れる全てにごめんなさい。


 これだけしても僕は死ぬことができません。全てはあなたのためなのです。けれどもあなたのせいではありません。全ては僕のせいなのです。もう何もかもわかりません。それでも明日はやってきます。何が残酷で何が優しさなのかわかりません。僕が悪いんです。何が悪いかなんて誰が決めたんですか。僕が誰なんです。全てが悪いんです。空気が悪いんです。悪いんです、空気が。


 もうわかりきっていることじゃないですか。さああ、早く。ナイフを、あなたの心を、ジャックを、全てを、僕のせいだから全部責任を取りなさいよ。あなたという心を生み出したわたしは罪であり僕は罪人です。終わらせます。

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パラノイド・インパルス おイモ @hot_oimo

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