冴えない男の話

@yuzuremo

第1話

鼻をつく様な冷たさが電車を降りたら襲ってきた。その匂いは少し酸っぱい様な感じがする。少し熱いくらいの温風に晒された体がその熱を奪われ、一気に冷えていく。新幹線を降りた直後は様々な人たちがいる。親子連れ、少し頬が赤くなっているおじさん。和服を着たおばさん。様々だ。それを横目に私は新幹線で食べた弁当のカラと缶ビールの缶を捨てる。息をほぅ、と吐く。その息は白く、あっという間にその姿を消した。外には民家がみえ、その屋根に積もった雪が見える。今からその中を歩くと思うと憂鬱になる。また一息。ほぅ、と今度はため息ををつき、エスカレーターを降りる。

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