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振り返ると、そこには背の高い。というよりは長い男の子が立っていた。
「え?は、はい。
えっと、君は、、、」
長身の男の子は少し困ったような表情で僕の机に手をつき、続けた。
「あ、覚えてないか。佐藤だよ。佐藤弓太。
小学校一緒だった。」
ゆみた、、、。
「ああ!佐藤弓太!」
小学校のとき隣のクラスに珍しい名前の子ががいた。それが弓太だった。
お互いにそんなに目立つ方ではなかったけど、僕のことを覚えていてくれたなんて。
僕は少し申し訳なく思った。
「そうそう!中学で身長だいぶ伸びちゃったから分からないよね。」
確かに、僕の記憶の中ではそんなに背の高いイメージではなかった。
むしろ僕より小さかったような。
「すごい伸びたよね、今身長いくつあるの?」
身長とは不釣り合いな幼さの残る弓太の顔を見上げながら聞いた。
「186cmだよ。中学で30cmくらい伸びたかな。」
186cm。僕の知り合いの中で一番背の高い人物かもしれない。
「でっか!中学ってどこだっけ?部活はやってたの?」
小学校の時にはほとんど話したことがなかったので、話題に困る。
「三中だよ。緑台三中。部活はバスケやってたんだけどね。」
弓太が真新しい制服のネクタイをいじりながら、うつむき加減で答えた。
「けど?高校じゃやらないの?」
「中学の頃は身長だけで、活躍できたんだけど、高校はほら。みんなも筋肉つけて身体が強くなるし、僕は骨格が細いから、中学の頃から筋力トレーニングしてたけど、どうも身体の強い人には勝てなくて。
それで、高校はどうしよっかなって。」
確かに、弓太は身長の割には線が細く、バスケのようなぶつかり合うスポーツでな頼りなさそうに見える。
「そっか、じゃあ色んな部活見てみないとね。」
「うん。青山くんは入る部活決めてるの?」
「僕は、陸上部。」
「そうなんだね。陸上かあ、走ってばっかできつそうだよね。団体競技じゃなくて、孤独だし、大変そう。」
「そんなことない!楽しいよ!一度練習見においでよ!」
「わかった。気が向いたら行ってみるね。これからよろしく、青山くん。」
『新入生は廊下に整列し、担任先生の指示に従って体育館へ向かってください。』
校内放送が流れ、僕たちは入学式へと向かった。
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