p2

俺は緑台第三中学校の葉山。3年生だ。陸上部に入ってて専門は、100m。

今日は待ちに待った最後の地区総体。天候は快晴。風も強すぎず弱すぎず。絶好の陸上日和だ!

昼過ぎから予選が始まるため、入念にアップとストレッチをしていた。

「さーて、余裕の1位通過をして、明日の決勝はど真ん中で走りますかぁ~…イッてぇ!!」

俺の後ろから誰かの肩がぶつかってきた。

「あっ、ごめんね」

申し訳なさそうに一礼をして去って行く、華奢な体型の男。その男を、俺は知っていた。

「緑台第一の青山か。1年の時は100m13秒台で、そんなに目立つ奴じゃあなかったけど前の一緒だった記録会はやっと12秒切るぐらいまで足早くなったよなぁ。ま、俺は中2の秋には12秒切ってたけどね。最近のタイムはどうなんだろ。まぁ、今後が楽しみな逸材ですよ、うんうん。」

そう、俺は地区ではけっこう早い方だ。ベストは11″42。春の段階でこのタイムだから、夏には全中標準切って、全国行きも期待されてる緑台第三の逸材なのだ!!そして、俺は非常に顔が広い。

「お!○○!久し振りだなー!調子はどうよ?」

「××じゃん!今日の予選お前も余裕だろ!ところでさ、高校どこ行くとか決めて……」

とまあ、こんな具合に顔見知りと談笑して予選のコールがかかるのを待っていた。今日までに死ぬほど練習してきたので、当日はリラックスして臨む主義なのだ。

俺は予選第1組。コールされ、スタブロをセットしていると、隣レーンにはさっきの青山がいた。

「おう!お互いがんばろうぜ!」

話すほど見知ってる間柄ではないが、隣のレーンだし、向こうも誰とも喋ってないから、リラックスが大事かな、と思ってさ。

「うん」

つれない返事だった。まぁ、こんなものかな。


「ON YOUR MARK」 


俺は知らなかった。


「SET」


隣のレーンのこいつに


「バーン!!」


負けることになるなんて!!



🏃🏃‍♀️🦌

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る