君と僕との夢の旅

飴乃 -いの-

第1話 事の始まり

 僕は人を殺した。


 事故だ。交通事故。

 僕が手を下した訳では無い、だけど、


 だけど、、、


「なん、で……なんでッ………!!!」


 僕と偶然一緒にいた、唯一の友人が無惨な姿になっていた。


 派手に車に轢かれた為、即死だった。


「ぼくが、殺したんだ……。ぼくと、ぼくと、一緒にいたから……。なんで、なんでなんで…!!なんでだよ………っ」


 僕は友人の血の海に膝をつき、泣き崩れた。

 泣きすぎて頭がぼーっとする。

 救急車の音が段々と近づいてくる。


 今更もう遅いんだよ……。


 友人を見る。とても見れたものじゃない。

 だけど。見る。

 もう一度、目を開けて笑いかけてくれるんじゃないか。

 もう一度、僕と話をしてくれるんじゃないか。

 もう一度、、、


 そんないくつもの「もう一度」を願っていた。


 ぴく、と、手が動いた気がして驚く。


「え…?」


 何故か救急車の音はさっきまで近づいていたのに遠ざかっていくように感じられた。


「目、覚まして……!ねぇ………!!!」


 友人は、

 かすかに目を開けた。


 はっ、とした瞬間に僕の意識は遠ざかった。



 *



「ねぇ………」


 声が聞こえる。


「わ……し……み…………て……」


 え?何て言ってるかわからないよ。


「わた…をみ……けて」


 後少し、後少しで聞こえるから…


「わたしをみつけて」


 いいけど、誰……?


「………わたしは××」



 *



 早朝、あまり使うことのないスマホが僕を呼んでいる。ただの目覚ましなのだが。

 とりあえず目覚ましの本分を果たしてあげようと、目を覚まし、音を止める。

 ふと、頬が濡れている事に気付く。


 何故か、泣いてた。


 夢の内容なんて、少しも覚えていないのに。

 只々、悲しくて泣いてしまう。


 きっと、原因は僕自身分かっているのだ。

 だが、わからない、気付かない振りをしているだけの意気地無しだ。


 そう、思い込みたい。


 だが、僕は本当に何も分かっていない。

 それはとてもこわいことだ。

 だってそれは、解決のしようがないから。


「あれ……。そういえば、僕、週末は何してたっけ…」

 思い出せない。最近のことが。

「週末はー……、たしか…」

 たしか、僕の嫌いな雨の日なのに何故か買い物に行って、何かを買った気がする。

 何だっけ。思い出せない。


「そういえば、帰りに……、ッ……!」


 なぜか、帰りのことを思い出せない。

 思い出そうとすると激しい頭痛が襲う。


「どうやって、帰ってきたんだ……?…っ!」


 思い出せない。

 何も思い出せない。


 思い出さないと、何か、大切な……


 突如、あの光景がフラッシュバックした。

「あ…っ!!あぁっ………!!!!!」

 あたまがいたい。われる…。


 そのまま僕はまた眠りに落ちた。

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