第4話「委員長がストーカーな訳がない」
「どうして全然、誰とも話そうとしないんですか。
お昼ご飯もこんな誰も居ない屋上で食べているし!」
「ああもう、うるさい。飯くらい静かに食べさせろよ。
……うーんお前の作る弁当だけが楽しみで学校に来ているようなもんだな~。あーおいしい」
「え、それはどうも有り難うございます。そう言ってもらえると、とてもうれしいです。
……じゃないですよ! こんなんじゃ全然リア充のような素晴らしい高校生活は送れませんよ?」
香菜から人質をとられ、毎日半強制的に高校に登校しだしてはや一週間、
香菜以外とまともに会話したのは、
たまに委員長っぽい女の子が連絡事項を教えにきてくれたぐらいである。
(しかもそれも、めちゃくちゃ緊張して俺は相槌しか打ててないんだけどね)
「そもそもクラスではぼくとすら会話しようとしないじゃないですか!
ぼくを通じてクラスの方々と仲良くなればいいじゃないですか!」
「お前は何も分かかっちゃいない」
「いいか、お前はどうやらコミュ力があるようだな。
そのせいでお前は既にクラスの人気者だ。お前を狙っている男連中もきっとたくさんいるだろう」
「え、まじですか? いや~、困りますねえ……。ぼくは立派なメイドとなりご主人様に仕える身。
ご期待に沿えないこのぼくをどうか許してほしい!」
なんだこいつ、顔真っ赤じゃないか。意外に褒められ下手なのか?
「……そしてだ、そんなお前に俺のようなクラスの腫物が仲良くしてみろ。
今はまだ空気として扱ってくれているのに、それが超うざい、邪魔者になってしまうだろう。
そして始まってしまうのだ。……いじめがな」
「被害妄想乙! ですよ。
もっとクラスの方々を信頼してみてはどうですか。皆さん優しい方々ですよ」
「はん、人っていうのはな、接する相手によってころころ態度を変えるんだよ。
お前には優しくても、問題児の俺には皆、非情になるんだ!」
「そんなことないですって……」
「あ、ほら委員長さんとかご主人様にもとても優しくなさっていたじゃないですか?
ご主人様も顔真っ赤にしながら相槌を打たれていて……まさか惚れちゃったんですか?」
「ち……ちがっ!」
慌てて否定しようとしたその時だった。
階段に繋がる扉が勢いよく開いた。
「話は聞かせてもらったよ! ご主人様ってどういうこと!」
「委員長!?」
「委員長さん!」
「いや……。私は委員長ではないんだけどね」
「……それよりもさっきからこっそり盗み聞きしていれば、
ご主人様とかお弁当を作ってあげているとか面白そうな話が聞こえてくるじゃない!」
いやいや、盗み聞きっておい。
ていうか委員長じゃなかったのかよ。
プリント配布とか学校案内とか香菜と俺にやってくれたからお前が委員長だと思っていたよ。
「学校では一正さんとお呼びしていたのに気が緩んでいました。
やりますね委員長さん。ぼくが気配に気づけないなんて」
「いや、だから委員長じゃないって」
「あなた達二人、同じタイミングで学校に来出して何かあると思っていたの。
それを暴くために色々お世話をして接近していたんだ」
「な、なんでそんなことを……?そんなことのために、爆発物である俺にも優しくしてくれていたのか……?」
「爆発物って。……まあ、確かに自己紹介とか逃亡劇とかは爆発していたかもね」
「ああああ、その話はやめてくれええええ!!!」
「あはは、でもそんなところも面白そうだなって思ったの。
私面白い事が好きなんだ。クラスの皆、普通過ぎてつまらない。
その点、あなた達二人は面白そうだなって思っていたら予想以上にすごい関係みたい」
「だめだ……。また俺の周りに変な奴が……。そっとしてくれよ……」
お前こそが面白いやつだよってつっこみを入れたくなるようなその変な女は、
ゲスな顔をして詮索してくる。
「私、瀬川夏芽っていうの。もう自己紹介してたと思うんだけどな。
改めましてよろしくね。そして二人のこと全部教えて?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます