美麗の城に血の雨を

狂音 みゆう

1.Prologue

 黒い影は寂しがり屋。

 赤い影は強がり。

 この世界に引き込まれた哀れな住人は…この「失敗作のゲーム」のプレイヤー。

 美しい「美麗の城」に引き込まれた住人。殺戮を行うこのゲームの元登場人物の赤い影。それを余興にお菓子を食べるのは、黒い影。


 現実から顔を背けた現代人の「プレイヤー」は、血の雨の降り注ぐこのゲームに魅入られる。自分が死んでロストしても、ゲームは続く。赤い影、住人のどちらかが滅べば、またふりだしに。

 ふりだしに戻れば、影の正体も、紡いだ愛もまた元通り。心に蟠りを感じながら、またゲームは続く。


「こんな嘘ばっかの世の中じゃ。」


今日も城には血と涙の雨と、悲痛な声が降り注ぐ。

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