#46  ✧

『人とフレンズの交流の場として様々なイベントが行われている中、先日開催された第一回ジャパリスカイレース in ホートクで優勝したのが、このスカイインパルスです。あ、スカイレースというのはですね…』

 

 アスカが説明しかけた途端、ハクトウワシさんが画面の端から身を乗り出してきた。

 

『ストップ! ここからは私達が説明するわよ!』

 

 ハクトウワシさんに続いて、ハヤブサさんとタカさんもアスカの前へ出てくる。

 

『良いの? じゃ、お願いしよっかな。あ、でも時間がないから手短にね』

 

『オーケー! じゃあ説明するわよ! スカイレースって言うのは、アスカが決めたコースをどれだけ速く飛べるか競うものよ! どうやってコースを決めるかっていうと…えっと…』

 

 目線を上げて考えながら話すハクトウワシさんに、タカさんとハヤブサさんがツッコミを入れる。

 

『ちょっと、それって手短って言うの?』

『もっと簡単に話せば良いんじゃないか?』

 

『そ、そうね…。えっと、コースにはいろいろな場所があって、例えば風が強い所とか、岩場とか山の中とか…』

 

『つまり、色んな仕掛けがあるコースを飛んでいくってことだな!』

『簡単に言うと、そうね』

『簡単過ぎないかしら?!』

 

 ツッコミの続く三人の会話に終止符を打ったのは、アスカだった。

 

『えーと…とにかく、この三人はそのレースを勝ち抜いたエリートチーム、ってところですね』

 

 苦笑いするアスカに、三人は元気良く答えた。

 

『それは間違いないわ!』

『目指すは、第二回も優勝ね!』

『そうだな! じゃあ…』

 

 三人組は拳を上げると、それをこつんと合わせ、

 

『レッツジャスティス!』

 

 と、ぴったりと息を合わせて言った。

 

「じゃ、ジャスティス…?」

 

 嬉しそうに笑い声を上げる三人組を見て、当時の彼女達が今よりも元気だったということは良く分かったのだが、最後の『ジャスティス』の意味が全く分からなかった。

 

『…と、いうわけで、次のグループの紹介に移りますね! 次は…』

 

 アスカがそう言いかけた瞬間、光はブツっと音を立てて消えてしまった。

 

「…へ?」

 

 思わず、私は素っ頓狂な声を上げる。

 

 結局、アスカは私に何を言いたかったんだ…?

 これが、本当に私へのメッセージなのだろうか。博士は、何か計算を間違えているのでは…?

 

「コレデアスカカラノメッセージハオワリダヨ。ツギハ、ボクガトッテオイタキロクヲフーカニミセタイトオモウヨ」

 

「えっ?」

 

 ボスが、録っておいた記録…?

 

「ジャア、サイセイスルネ」

 

 さっきの光が、同じように空間に浮かんだ。

 

 光が形取ったのは、見覚えのある壁をバックにこちらを向くアスカだった。

 私は、アリツカゲラさんや博士のいたログハウスの壁を思い出す。あの壁と似たような壁ということは、アスカがいるのもログハウスの中なのだろう。

 

 アスカは、先程とは違った深刻そうな顔をして話し始めた。

 

『緊急放送です。緊急放送です。ホートクチホーにて、セルリアンが発生しました。ホートクチホーにて、セルリアンが発生しました。なお、お客様立ち入り禁止区域内での発生ですので、お客様は落ち着いて、エントランスまで避難してください』

 

 せ、セルリアン…?

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