しゅつえんメンバーけってい
#21 しょうかい
「えーっと…ここにいる皆、フェスティバルに参加したくて来てるの…よね?」
あまりの大人数に、ハクトウワシさんが苦笑いしながら群衆に問いかける。
「そうだよー!」
「決まってるじゃない!」
「みんなの前で演技ができるなら…」
「会場はどこ?! 早く練習したいわ!」
「私は何となく来てみただけです!」
「練習に一曲良いですか? (ドヤァ)」
「ん? あの子は新しいフレンズ?」
「ちょっと待って、あれってアスカじゃない!?」
「えっ、アスカ?!」
「ほんとだー! アスカー!」
あまりの大人数が一斉に話すので、事態は収集がつかなくなった。それに加え、私をアスカと勘違いしたフレンズ達がどんどん近づいてくる。
「静かにするのです!」
博士の一喝で、場は一瞬にして静まり返った。
「彼女はアスカではありません。ヒトではありますが。彼女はフーカと言うのです。ついこの間ジャパリパークへ迷いこんだ所を我々が助け、そのお礼にフェスティバルの企画を手伝いたいと言ったので、協力させてやっているのです。良いですか。彼女はアスカではないし、ガイドでもないですよ」
ちょっと博士、大分設定が違うような…。
と、思ったが、この説明の方がフレンズ達にとって分かりやすいかもしれない。
フレンズ達は相変わらず落ち着きのない様子だが、博士の言葉にはきちんと耳を傾けているようだった。
「とりあえず、今のままではごちゃごちゃしているので、メンバーごとに分かれるのです。催し物をしたいグループごとに、ですよ。何にも所属していないフレンズは、この辺に集まるのです」
博士の命令に、フレンズ達はざわめきながら歩き始めた。他人の腕を掴みながら移動する者、必死に手を振る者…。まるで、遠足のグループを決める小学生のようだ。
数人のグループが四、五組できただけで、残りのフレンズ達はみんな無所属のようだった。
「これで良いですね。では、ここからは我々と同じくらい賢いフーカに任せるのです」
「は?」
博士があまりに早く総括を求めてきたので、私は思わず声を裏返した。
「どうするですか?」
「いや、私に全部任せるの?」
「さっきからそう言ってるでしょう」
「ま、マジで…?」
しばらく考えると博士に急かされそうだったので、最初に思い付いた案をとりあえず提案してみる。
「じゃあ、逆に博士にお願い。ここにいるフレンズ達の紹介をしてくれない?」
「私が、ですか?」
「確かに、フーカは私達の名前しか覚えてないわね」
「でも、ここにいる全員を紹介していたら時間がかかりそうだが?」
「いや、この場のフレンズ全員を紹介してもらって、ついでにどんな事でフェスティバルに参加したいのか聞いていけば、今日中にグループ分けが出来るんじゃないかな、って思って」
すると、博士は二回うなずいて、
「良いでしょう。ではグループに所属しているフレンズから紹介していくのです。フェスティバルで何をしたいのか、自由に話すのですよ」
と、声をかけた。
その場にいたフレンズ達は、はーい、と元気良く返事をする。
「ナイスアイディア! さすがフーカね!」
「確かに、その方が効率が良いな」
「賢いんですね~!」
背後にいるフレンズ達から口々に褒められたが、私の案はそんなにナイスなアイディアなのだろうか?
ただ、博士に「我々と同じくらい賢い」と言われたということは、少し認めてもらえたのかもしれない。
でもやっぱり、アスカ以上の信頼は得られなさそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます