第16話フラグ回収ってやつ

昨日はいい事がありますように。なんて思ったけど、現実はそう甘くはない。

それはこの異世界でもそうだ。


「昨日の夜はなにしてたんですか?」


そんな問をシルミーがなげかけてくる。


「ミレナさんと食事をして、別れた後に近くの宿に泊まってました。」


俺たちがいつも泊まっている、宿の部屋で床に膝をつく俺は、怯えながらそう答えた。


「そのミレナって誰?」


次はキララからの問に。


「ギルドにいる受け付けの女性です」


2人の顔を見て言っている訳では無い。

ずっと下を向いて言ってる。

目を合わせるな!

そう俺の直感が言っている。

かつて、これほど強く直感が反応した時はあっただろうか。いや、ない。


「実はね?私達、昨日の夜辺りに警察署に行ったんだよ。剣真は悪くないです。だから釈放して上げてください。ってね?」


シルミーがサラッと、でも低い声でそんなことを…。


「そしたら、剣真さんの罪は悪くないことが先程証明されたので、もう釈放済みですよ?って」


心に何か痛む。


「だから、安心して、先にすれ違ったのかと思えば、家にいなくて、ずっと帰り待ってたのに…」


俺はすぐさま、土下座をした。

それを土下座という言葉におさめていいのかどうかと思うほど綺麗な土下座をした。


「すみま『謝る時は顔みて話して』」


顔を見るのは怖いが、覚悟を決め顔を見ると、そこには目の下のクマができたシルミーとキララがいた。


「すまなかった!俺が2人がどんな気持ちでいたのか考えずに…」


「ププッ」


それはキララの声。

いま笑った?なぜ、このタイミングで?


「プププ。あは、あはははは!」


「だめだよ、キララ!あはは!」


「おい、これは一体なんだよ?」


俺が現状に理解出来ず、不思議でいるとシルミーから…。


「じゃあ、せーの!」


「「ドッキリ大成功〜!!!!」」


「はあ〜!?!?」


まだ理解出来てない俺をみて、キララが。


「すごく落ち込んでたね!面白かったよー!!我慢するのが大変だったよ〜!!」


「キララったら、まだネタバレしないはずでしょ!面白かったからいいけど!」


「だね!あー、思い出すとまた、あはは!」


「そんなに笑ってたら、私も、あは、あはははは!!」


「ほんとになにもわかんねーよ!どこからドッキリなの!?」


「んーじゃあ、私たちが剣真がいない間何してたか教えるよ」


「実はね。昨日警察署に言った時に、女性から剣真が受け付けの人とどこか行くってのを聞いてて、そこでドッキリしようと思ってね。」


「それで、どんなドッキリにしようかキララと話してたら、ちょうどメイクをしてくれる店があって、店の人に経緯を話したら無料でメイクしてくれるって言ってくれるからさ、この目の下のクマをほんものみたいにしてもらって、怒ったふりしてたってわけなんだ!」


ドッキリされたことには、すごく驚いた。

だが、それよりもこの世界にもメイクができる店があることに驚いていた。

そんなことを考えていると…。


「でも、今度こういうことあったら、すぐ帰ってきてね?そーしないとシルミーが落ち込んだままだからさ」


「「え!」」


俺とシルミーは同時に、驚き声を出した。


「その話を詳しく聞きたいんだけど」


「いいよ。シルミーったら『まって!まってー!それはなしー!』」


そんな話を聞いてた俺は…。


「ほんとお前らのこと(仲間として好きだわ)」


「「ッ!?!?」」


なんか変な反応だったな?変なことは言ってないけどな?まあ、いいや。

今回は2人に迷惑かけたし、今度プレゼントの1つでも買ってやるか。


「「今の言葉、どーいう意味??」」


「そのまんまだよ」


シルミーとキララは顔を手で覆い、俺に見えないようにしてる。

どーしたんだろ?まあ、いいや。

そんな朝を迎えた俺であった。





現在はギルド。

今は次に何するかの話し合い中。


「次は俺のスキルで試したいことがあるから、今までより少し難易度が高いクエストに行かないか?」


そう、俺の略奪はステータスを2つ奪えるようになったため、いろんなことを試してみたい。

例えば、生き物とそうでないものは同時に奪えるのかとか、ステータスを使用時間の途中に解除した場合に、2つ同時に外した時と、1つだけ外した時はアドバンテージに違いは出るのかといえことだ。

ステータスを2つ奪った時と1つだけ奪った時の使用時間は変わらないことはわかっている。


「少し難しいクエストか。確かにもうダフィには圧倒できるようになったもんね。じゃあ、親ダフィのクエストなんてどう?」


ダフィとはダッシュフィッシュの略だ。

ダフィの方が短くて簡単だからというのが理由。


「親ダフィ?それってダフィの親か?ちなみにそれはどんなのだ?てか、親なんていたの?」


「親ダフィは普通のダフィと大きさはそんな変わんないんだけど、ジャンプ力が異常に高いんだ。だから、剣真の略奪を試すのにもっとこいと思ってさ」


「なるほど、じゃあ今すぐ行こうぜ!」


そういって、掲示板から親ダフィのクエストを取り、街の近くの草原に向かった。



――――――――――――――――――――

第16話です。

16とは言えば、4の2乗ですね。

すみません、なんの意味もありません。

今回は前回の最後の明日もいい事がありますように。のフラグ回収の回です。

楽しみながら読んでくださったなら嬉しいです。

次は親ダフィとの戦闘回です。

それと、剣真のスキルについても色々していきたいです。

今回も読んでくださった皆さんありがとうございます。

では、また次回で!

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