第5話女神に初めての感動を!

俺の職業はそれは珍しく、俺限定のもんだ。

能力だけ聞けばそれは強い。ものすごく強い。

だが、欠点がデカすぎる。

ほら、そんなこと思ってると。


「10秒か…。それならパーティはいいかな。」


「俺も遠慮しとくわ。またな。」


冒険者達は次々に去っていった。

さっきの大騒ぎはどこにいったのか、ここにはもう俺とシルミーと受付けの女性しか残っていない。


「俺の職業、略奪者にするよ。欠点があっても、レベルアップしていけば強くなるだろうし。何より必要なのは、能力の強さじゃない。それは扱う人の強さだからな。」


シルミーが俺のそんな言葉を聞き、感動している。今のは俺でもカッコイイとおもったりする。


「では、略奪者にしますね。これで貴方の職業は略奪者になりました。これから、がんばってくださいね。陰ながら応援してますよ。」


「ありがとうございます。シルミーも鑑定してもらえよ。」


「あっ、うん。わかった。」


「鑑定終わりました。って素晴らしいステータスの持ち主ですね!魔力、素早さ、体力、知能は最高クラスです。悪いのは運と力が少し低く、器用さが最低クラスなぐらいだけで。」


さすが女神様。こちらに来ても、すごい。

シルミーは嬉しさの余りに、涙目で。

ほんとに泣いてない??


「すみません。今まで、何もすることなくただ世界を見渡してただけなのでこういうのに憧れてたので。やっと、この世界のために役に立てます。」


女神ってこういう人のことを言うんだと、実感した瞬間であった。


「まだ職業選んでないんだから、泣くのはその後にしとけ。」


「わかった。じゃあ、私がなれる職業って何がありますか??」


「職業は回復や援護などで、仲間のサポートをする『賢者』、魔力を使い、さまざまな詠唱を唱え、魔法を放つ魔法使いがあります。」


俺は略奪者で前衛職だし、どちらの職業を取ってもバランスがいい。

だが、賢者の方がレアな職業だ。魔法使いは魔力と知能があればできればなれる職業だ。

しかし、賢者は魔力に知能はもちろん。回復をするために自分の体力を分け与えるのだ。体力がないものが無理に賢者になろうとすれば、体力をすぐに使いきりお荷物になってしまう。シルミーはどちらを選ぶの。


「私、賢者になります。そして、傷ついてる冒険者の皆さんを助けます。」


シルミーは迷うことなく、ハッキリとした声でいった。俺が悩む必要がなかったな。

そうして、俺とシルミーは冒険者としての第一歩を踏んだ。


「これからどうする?お金とかある?」


「出る時に持ってきたのがあるよ。3日分の食料と寝床を借りられるぐらいならギリギリあるよ。」


「じゃあ、今日は寝床探しと、モンスターを倒すクエスト以外のものでお金稼げるもの探そうぜ。」


「うん!」




「宿屋はここでいいか。」


ギルドから数分歩いた所にあった、安めの宿に泊まることにした。ベットは一つしかなかったため、シルミーがベットで寝て俺は床で寝ることにした。

シルミーが俺も布団に入ろうと言ってきたが男女2人が同じベッドはいろいろとまずい気がして、やめておいた。


モンスターを倒す以外のクエストについては、今の俺たちにできるのが少なかった。

明日、明後日とまだ時間はあるが、早めのうちにお金は確保しておきたい。

悩んでいた俺たちの元に、1人の男性が話しかけてきた。


「すまんがそこの冒険者の方達、今日の夜8時頃から12時頃空いているか?」


男性の服装は日本とは少し違うか、警察官のようなものだった。

なにか困っているような話し方だったので、話を聞くことにした。


「いいけど、なんでだ?」


「実はここの領主の見回りをしている奴が熱を出してしまって、代わりのものを探していたとこだったんだ。そんな時に丁度、クエストの掲示板の前に君たちがいたからさ。」


「なるほど、じゃあ俺達にその間見回りの代わりをして欲しいってことだな?」


「あー。クエストでお金を稼ごうとしていたんだろ?報酬もしっかりだそう。どーだろうか、悪い話ではないと思うんだが。隣にいるお嬢さんにも手伝って貰えるなら、2人分だそう。」


「いいぜ。その話のった。で、その場所はどこなんだ?」


「助かる、ありがと。場所はこの地図の丸がついてある場所だ。では、またあとで。」


地図を渡した警察官の男はそのままギルドを出ていった。

これでなんとか、お金を稼ぐことが出来たし、よしとしよう。


「やることは終わったし、飯行くに行こうぜ。腹減ったしな。」


「うん!私もお腹減ったよ!早く行こ!誰かとご飯食べるの初めてなんだ!」


「おい、引っ張んなよ!わかったよ。行くから。」


俺もこっちの世界では初めての飯だし。内心はワクワクしている。異世界の食べ物ってどんなのだろうな。やっぱり、見たことない食べ物とかわんさかあるのかな?案外、日本の食べ物と変わんないのかな?

俺はいつの間に早足になっていた。


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