【 夜の雫 】

天に向かって 翳した掌

ちっちゃな指の隙間から

見える夜空


月と星 天上を照らす

蒼白く磨ぎ澄まされた星々は

夜の静間に息ずいて

光年のときを数える


彗星のように 駆け抜けて 

やがて消えていく運命さだめ

きっと この星の光は

あなたには届いていない


朧げなる月よ

何故 わたしの心を見ない

もどかしさに身悶えて

星屑がひとつ消えていった


水面に広がる水紋

白く尖った新月のナイフが

心に突き刺さる


今宵の月は哀しくて

翳した掌も 指の隙間も

夜の雫に濡れている

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