【 思考する夜に…… 】

夜の静寂しじま

私を思考へといざな

仄暗い豆球がシーツの海を照らして

波打ち際には夜光虫のように

ラメ入りマニキュアが光るから


私の思考回路は小舟に乗って

大海原へと漕ぎ出した


困惑島こんわくじま 躊躇島ちゅちょじま 懊悩島おうのうとう

悩める小島を巡って行きましょう

それらの島を遊覧船のように

行ったり来たりと堂々巡り

明快な答えが出ないままに


思考は交錯して

混沌岬こんとんみさきの沖で座礁しまった


岩礁からセイレーンの

美しい歌声が聴こえてきたら

意識が朦朧とし始めて

ついに深海へと

思考の小舟が沈んでゆきます


柔らかな枕が私に

こっちにおいでと誘惑するから


  ……この思考は明日また考えよう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る