アンダーグラウンド

私には奇妙な習性があって、「高熱を出して寝込むと長編の現実ドキュメンタリーを見る」事があります。

昔、ホストのドキュメンタリーを見たことがあって、今でも印象に残っています。

ああいう世界って、「お金」の力の強さが一般世界よりも強いというか、もはや「魔力」といってもいいくらいの存在感と力があります。


お金のためにホストは自らを殺して女性に甘い言葉をかけ、女性はお金を殺して足りない何かを埋め合わせようとする。それが自尊心なのか、かけられなかった愛情なのかはわかりません。しかしその場で振りまかれる愛情は、蒸気のようにむなしくすぐにとけていくものです。だから、人によってはホストに通い詰めて大金を注ぐ。ホストの側も、「仕事」として思ってもない事を言ったりするわけです。でも、それも「お金の為」です。まあ、基本的に自分に嘘をつき続けると人間はしんどいものですから、ホスト側もまあなかなかのしんどさがあると思います。人による、と言われればそれまでですけどね。


逆もまたしかりでしょう。風俗系というのは、そういう世界。一つ言えるのは「考えられないような金が動く世界」ということ。私も職場の同僚に「いい娘を紹介しますよ」と言われたのですが、「愚かな」と、私がその世界の大雑把な仕組みを説明して呆れられたことがあります。でも一般的に男性ってのはそういうところに行くと聞くので、浮世に浮く男としてはふさわしい行動なのかもしれません。


そして、そういう世界は密接にさらにこわーい「裏社会」と繋がっているとかいないとか。

そういえば、この前芸人さんが解雇されましたね。ああいうやつです。はい。

お金の力って怖いですよね。家族の関係も、人間の人生も、なんでも狂わせてしまう。


「そういう世界の住人だって、この店にきっと何人も来てるわけだ」


「そりゃそうに違いないですね。絶対来てます」


「色んな生き方してる人間がいるよねえ」


そんな会話のできる隠者君と一緒に働けるのも、もうあと二日です。

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