エッフと中国の少女

SNSでも触れていますが、わたくしは語学の勉強で中国に行っていたことがありました。

というか、これからもちょくちょく旅行で行くことになると思うんですけども。

まあ、滞在していた時、あった話。


一時的に住んでいた家の家主さんが最近仲良くなったという、アルバイトの女の子と出会ったんです。16歳。

その子は、親が離婚し、父親は愛人と暮らし、という中で独りぼっちの生活を送っていたようなんです。でも、ものすごく明るい性格で、日本語を教えてやってくれと言われたんで、一緒に日本語を教えてあげてたんです。たびたび私が中国語の発音を間違えるんですけど、「メイグアンシ=別にいいよ!」と元気よく言ってくれたのが印象的で。


SNSも交換したんですけど、「寂しい」的な投稿もしばしばという人物だったんですが、学校に行くお金もない中で自分と接していて。私の帰国の前に、一緒に家でご飯を食べようという話になりました。その時、帰国するにあたっての寂しさに加えて、その子が複雑な環境の中でも前を向いて、一生懸命生きてる姿が、ずっと私の心を打っていました。談笑しながらご飯を食べ、家で一緒に中国語で歌を歌ったりしました。


最後に、その女の子が「好きな歌なんだ」っていって、kiroroの「未来へ」を歌ってくれたんですね。中国語では「未来へ」は「后来」という歌名で、内容も失恋ソングで違うんですが、私はよくこの歌を知っていたのと日本語の歌詞を見ながら少女の歌を聴いていて、泣かずにはいられなかった。その後、見送ったんだけど、その時笑顔で手を振ってくれた彼女の顔が今でも忘れられません。それから、深夜までずっと涙が止まりませんでした。


風の便りで、今は少女は黒竜江(中国東北部)にいるとのことでした。もう二度と会うことはないかもしれない。オチもなくて申し訳ないんですが、私が珍しく、号泣した話でした。


ほら足元を見てごらん これがあなたの歩む道

ほら前を見てごらん あれがあなたの未来


って、いい歌詞だよな。

健やかに、そして幸せになってほしいと思えた人との出会いの話。

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