第93話 魔界への道

 ランラン丸を渋々回収して、キョテンの街に帰った俺は、早速ズボンを補充した。


 尻が燃える度にズボンも燃えてちゃかなわないが、尻を燃やさないとユミーリアとマキ以外の攻撃が、六魔将軍に通らないからな。仕方ない。


 ちなみに、俺達の船、ピーチケッツ号は俺の尻の中に収納されている。


 なんとも複雑な気分だった。



 晩ご飯を食べた後は、みんなで修行しようという事になった。


 久しぶりの重力修行な気がする。


 今日はユミーリア達に合わせて、一気に50倍からだ。


 重力室で重力を設定し、ボタンを押す。


 すると俺達に、外の50倍の重力がのしかかってくる。


「ぐおおお、や、やっぱり俺には無理か」


 俺は完全に地面におさえつけられて、動けなかった。


 マキも立っているのがやっとという感じだった。


 ユミーリア、コルットはすでにスイスイ動いている。

 エリシリアはまだ少し身体が重たそうだ。


 ランラン丸は……俺が海に捨てたのをまだ根に持っているのか、部屋の隅ですねている。


「おまえがー爆笑してたのがー悪いんだからなー」


 俺ははいつくばりながら、ランラン丸に話しかける。


「だからって、海に投げるとか、酷いでござる! 拙者プンプンでござるからな!」


 ええい、めんどくさい刀だ。


 あの後ちゃんと言われたとおりに手入れしてやっただろうが、まったく。



 ランラン丸は放っておこう。

 まずは動ける様にならないと話にならない。


「ぐおおお!」


 俺はなんとか立ち上がろうとするが、ビクともしない。


「リクト様、ファイトです」


 マキが大量の汗をかきながら、応援してくれる。


 ユミーリアとコルットはすでに模擬戦を始めていた。マジすごい。



 俺達はそれぞれ修行する。


 修行をして、各自疲れが見えたら、俺の魔法で回復する。そしてまた修行の再開だ。


 これのおかげで、常に全力で訓練が出来る。


 俺自身も回復を繰り返しながら、なんとか立ち上がる事が出来るようになった。


 俺はもっと、強くならないといけない。


 あの時、魔王の攻撃を受けてわかった。

 今のままでは魔王に勝てない。


 きっとユミーリア達もそう感じたからこそ、修行をしようという事で意見が一致したのだろう。


 俺は超重力の中、無理矢理動き回っては回復してを繰り返した。


 ただでさえ超重力という身体に負担がかかりまくる環境下で、身体を壊してはすぐに回復するという事を繰り返している為、すさまじいスピードで身体が鍛えられていくのだ。というのがエリシリアの分析だ。


 俺達は修行を続け、やがてコルットが眠くなってきた所で切り上げる。


 眠気だけは回復魔法でもどうにもならないからな。

 しっかり寝る事も大事だ。


 俺達は順番に風呂に入り、眠りにつく。


 しかし、お風呂上りの女の子って、どうしてあんなに良い匂いがするんだろうな。


 そんな事を思いながら、俺は瞳を閉じた。



 次の日、俺はまずイノシカチョウのレア肉の調達に向かう。


 みんなは引き続き、修行を続けるそうだ。


 いつも通りイノシカチョウの生息地に向かい、サクサク倒していく。


「こうして、イノシカチョウを倒しながら、のんびり生きていけると思ってたんだけどな」


 俺のつぶやきにランラン丸が反応した。


「そうでござるな。最初のリクト殿は、勇者であるユウ殿に全部任せる気マンマンでござったからな」


 そう、俺は勇者ではない。

 だから勇者であるユウに全部任せて、この世界で気楽に楽しく生きようとしていたのだ。


 だが、ユミーリアとパーティを組んで、どんどんストーリーに巻き込まれていって、気がつけば魔王に勇者と勘違いされる始末だ。


 とはいえ、ユミーリア達と一緒に居られる今の方がずっと良い。


「さっさと全部倒して、のんびりしたいもんだな」

「そうでござるなー」


 俺はイノシカチョウを倒し、レア肉を調達して、ギルドへ戻る。


「いつもありがとうございます、リクトさん」


 そんな俺達を、ラブ姉がむかえてくれる。


「聞いてますよ、なんでも伝説の勇者の装備を集めているとか。ギルド長も情報を集めてくれているみたいですし、がんばってくださいね」


 ラブ姉はそう言って、大きなふくらみをバインバインとゆらす。


 ああ、幸せだな。これぞ幸せって感じだ。


「そういえば、ユウのやつはどうしているか知ってる?」


 俺はふと気になった事を、ラブ姉に聞いてみる。


「ユウさんですか? 最近は遠出してモンスター退治にはげんでいますね。リクトさんを超えるんだーって頑張ってるみたいですよ?」


 俺を超える、か。

 この世界に来た時はユウの方が俺より強かったんだけどな。


 これから先、ストーリーがどう動くかはわからない。

 勇者であるユウには少しでも強くなっておいてもらわないと。


 俺はラブ姉に別れを告げて、マイホームへ戻る。



「ただいまふうがっ!?」


 重力室に入った瞬間、俺は地面に突っ伏した。


「あ! ご、ごめんリクト、大丈夫?」

「ぐおお、こ、これは……いったい、何倍の重力で修行してるんだ?」


 昨日の50倍の非ではない、とんでもない重力を感じる。


「100倍だ。いやはやまったく、ユミーリアとコルットの成長はすさまじいぞ」


 そういうエリシリアも、この100倍の重力の中、なんとか立って動いている。


「おにーちゃん、回復してー」


 コルットがこちらにトテトテ歩いてくる。


「お、おう。ゴッドヒール」


 俺はなんとか手をコルットの方に向けて、回復魔法を唱える。


 俺の尻からあふれるピンク色の光がコルットを包み込んだ。


「はふー、きもちいいー」


 コルットが目を閉じて気持ち良さそうにしていた。


「リクト、私にも頂戴」

「私もだリクト、お前が居ない間は無理は出来なかったからな、ここからが本番だ」


 俺はユミーリアとエリシリアにも、回復魔法をかける。


「はぁー気持ち良いよー」

「まさにこの瞬間の為に生きているといった感じだな」


 二人が気持ち良さそうに目を閉じて、ピンク色の光に身をゆだねていた。


「よし、コルットちゃん、やろっか!」

「うん! いっくよーユミおねーちゃん!」


 ユミーリアとコルットが模擬戦を始める。


「私も、やるぞー!」


 エリシリアはひとりで筋トレだ。


 俺はというと、顔をあげる事も満足に出来ない状態だった。


「そういえば、マキはどうした?」


 俺は重力室にマキが居ない事に気付いた。


「買い物だってー」

「マキはここで鍛えてもレベルは上がらんらしいからな」


 なるほど、確かに、マキには修行は不要だもんな。


 俺が魔力供給をしないと、レベルは上がらないのだ。

 だが、その分成長率は半端ない。

 先日少し引っ付いていただけで、魔法を使える様になっていたしな。


「おや、リクト様、帰っておられたのですね」


 マキの事を考えていたら、マキが帰ってきたようだ。


「お、おかえり」

「ただいま戻りました。リクト様? なぜ寝転がっているのです?」


 そう言って重力室に足を踏み入れたマキは、俺が転がっている理由を理解した。


「こ、これは……すさまじい重力ですね。リクト様が動けない理由がわかりました」


 どうやらさすがのマキでも、この重力はキツイようだ。


「……はっ! ひらめきました! リクト様、失礼します」


 マキがうつむきに寝転がる俺に、おおいかぶさってきた。


「待て待て! 何をしているんだマキ!」


 エリシリアが気付いてこちらにやってくる。


「いえ、リクト様が動けないようなので、せっかくですから魔力供給をと思いまして」

「こ、こんな所でやる気か?」


 エリシリアがうろたえている。


「ええ。これならリクト様にも逃げられませんし、エリシリア様達も見張っていられるのでご安心頂けるでしょう? これは絶好の機会だと思いました」


 まあ、確かにこれなら、俺も手を出せないしな。むしろ手が上がらん。


「むう、確かにあなたにはその、魔力供給というやつが必要だというのは理解しているが……まあ、私達の前だし、リクトも手が出せないようだから、確かに丁度良い機会かもしれないな」


 エリシリアが渋々納得した。


 とはいえエリシリアよ、実はな、マキのやわらかい二つの果実が背中に当たっているんだよ。

 もうね、これだけで興奮してしまっているんだ。


 なんて言えるはずもなく、俺の尻からピンク色の魔力があふれ、マキを包み込み始める。


「はぁ、ほんと、ステキな魔力。心地良くて、たまりませんわ」


 マキが色っぽい声を出す。


「そこ! リクトに手を出すのは禁止だからな!」

「わかっていますよエリシリア様、ふふふ」


 マキは笑いながら、俺に身体をすりつけてくる。


 ああ、俺もこのやらわかさが心地良いよ。



 俺はマキにのしかかれながら、みんなを回復させて、1日を過ごした。



「今日も頑張ったねー」

「うん、いっぱいつよくなったよ!」

「そうだな。マキ、今日の晩ご飯はなんだ?」

「はい、イノシカチョウのレア肉のソテーでございます」

「いやぁ、マキ殿の料理はおしいでござるから、楽しみでござるなー」


 ご飯を食べて、みんな順番に風呂に入り、思い思いに過ごす。


 なんか、幸せだなー。


「って! 俺達今日、魔界に行くんじゃなかったっけ?」


「……あ」


 全員、手が止まった。


「そ、そうでした。ついリクト様の魔力が気持ちよくて、忘れていました」


 珍しく、マキが一番うろたえていた。


「ももも、申し訳ありませんリクト様」


 ガバッとマキが頭を下げる。


「いや、マキだけのせいじゃないって。俺も忘れてたし、みんなも……だよな?」


 みんなが苦笑する。


「あ、明日は朝から魔界に行こう。うん、ラブ姉にも言っておかないとな」

「えー、わたしもっと修行したいー」


 コルットが残念そうにしていた。


 そんなコルットの頭を、ユミーリアが撫でる。


「大丈夫だよ、きっと魔界には、強いモンスターがいっぱい居るよ」

「ほんと!? わーいやっつけるー!」


 おいおい、強いモンスターがいっぱいとかカンベンしてくれ。

 そしてコルットは、相変わらず戦闘狂だな。


 エリシリアも俺と同じ事を思ったのか、乾いた笑いをしていた。



 次の日、俺はラブ姉にちょっと旅に出る事を告げにいく。


「今度はどこに向かうんですか?」

「んっと、魔界」

「え?」


 俺の言葉を聞いて、ラブ姉が目を点にしていた。



 俺達はマイホームでササゲ村に移動した。


 そこから西、そこに魔界の入り口があるはずだ。


「しかし、そんな大事な穴なら、見張りとか居るんじゃないか?」

「はい、恐らく六魔将軍の誰かが居るかと思われます」


 六魔将軍か。

 あいつらみんな結界を持ってるからな。普通の攻撃じゃ倒せないんだよな。


 倒せるとすれば、勇者の装備を持つユミーリアか、元魔族のマキだけだ。


 俺達が攻撃を通そうと思ったら、俺の尻の力を使うしかない。


 炎の尻、敵の障壁を貫通させる力をパーティメンバーに与える力だ。


 ただしその間、俺の尻は燃えたままになる。

 熱くはないが、ズボンが炎で燃えてしまうのだ。


 予備のズボンは多めに買っておいたが、正直毎回尻が丸出しになるのは、嫌だなぁ。


「すまないリクト、私達も勇者の装備の様なものがあれば、お前の尻を燃やさなくても済むのだが」

「ごめんね、おにーちゃん」


 エリシリアとコルットが申し訳なさそうにしていた。


「気にするな、俺も尻を燃やさないと攻撃が通じないんだ。別にエリシリアとコルットのせいじゃないさ」


 俺はエリシリアの肩に手を置き、コルットの頭を撫でる。


「そ、そうか、うん」

「えへへー」


 エリシリアは肩に置いた俺の手を撫で、コルットはうれしそうに頭を撫でられている。


「うー、私、勇者の装備、いらない」

「ユミーリア様、お気持ちはわかりますがお気を確かに」


 なぜかユミーリアがすねていた。



 しばらく東へ歩くと、大きな黒い穴と、六魔将軍のひとり、ヤミガーメの姿が見えた。


 俺達は近くの岩場に隠れて様子を見る事にした。


 恐らくあの大きな黒い穴が、魔界と繋がっているのだろう。


「やはり、六魔将軍が居ますね」


 マキが小さな声で話す。


「どうしますか? リクト様」


 どうするか、か。


 見た所、ヤミガーメ以外の敵は居ないみたいだ。


「まずはヤミガーメを倒そう。あいつを倒さない限りは穴の中には入れないだろうしな」

「そうだな、他の敵がやってこない内に、素早く倒そう」


 俺とエリシリアが、武器を構える。


「そうですね、みなさんの強さとリクト様の力があれば、ヤミガーメ程度なら敵ではないでしょう」


 マキのお墨付きももらった。


「よし、それじゃあやるか!」

「おー!」


 俺の号令とコルットの叫びで、俺達は前に出る。


「む? き、貴様らは!?」


 ヤミガーメが俺達の姿に気付き、驚いていた。


「いくぞ、炎の尻!」


 俺の尻が光り、炎が燃え上がる。


 そしてみんなの身体を、ピンク色のあわい光が包み込む。


「はあっ!」


 エリシリアが光のムチをうならせる。


「チイッ! 我輩はその様なムチでは倒せんぞ!」


 ヤミガーメがツメを伸ばし、光のムチをさばく。


「ほう、やるな? だが、敵は私だけではないぞ?」


 エリシリアがニッと笑う。


「なに?」


 敵は俺達の動きを、目で追えていなかった。


 超スピードで動いたコルットが、ヤミガーメの後ろにまわりこむ。


「たあっ!」


 コルットの拳が、ヤミガーメの背中のこうらを貫いた。


「ぐはぁっ! な、なんだと!? い、いつの間に?」


 ヤミガーメが口から紫色の血を吐いた。


「おのれ! 我輩をなめるな!」


 ヤミガーメは首を引っ込ませて、その場で激しく回転する。


 その回転によって、マキのハンマーと俺の刀を弾いた。


「む」

「こいつ、倒したと思ったのに!」


 ヤミガーメは回転しながら、空へと上昇していく。


「ふははは! これぞ我輩の奥義! 闇の大回転である!」


 どこに闇要素があるのかわからないが、あの回転はやっかいだ。


「いくぞ! 死ぬがよい、勇者よ!」


 ヤミガーメは回転しながら俺に向かってくる。


 だから、勇者は俺じゃなくてユミーリアなんだけどな。

 まあ、それでユミーリアが狙われるよりはいいか。


 俺は回転しながら向かってくるヤミガーメの攻撃をかわす。


 昨日の100倍の重力に比べたら、軽い軽い。


 あとの問題は、あいつに攻撃が通らない事だな。

 あの回転のせいで、攻撃が弾かれてしまう。


 さて、どうしたものか。


 俺が考えている内にも、敵の攻撃は続いていた。


 俺は回転しながら飛んでくる敵をかわす。


「チイッ! ちょこまかと鬱陶しいであるな!」


 敵の回転はおさまる気配が無い。


 どうにかしてあの回転を止めるか、それとも、回転している状態でぶった斬るか。


 俺はランラン丸を強くにぎる。


「お、リクト殿、やる気でござるか?」

「ああ、まだ魔界にすら行ってないんだ、こんな所でモタモタしてられないからな」


 俺はランラン丸を一度鞘におさめ、そしてヤミガーメに向かって振り抜く。


「む?」


 ヤミガーメに向かって、闘気が飛んでいく。


 俺はその闘気にあわせて、ヤミガーメへと走り出す。


「な、何をするつもりである!?」


 俺は闘気においついて、放たれた闘気にあわせる様に、刀を振り下ろした。

 闘気と刀の斬撃、そのふたつが重なり合う。


「爛々二重斬(らんらんにじゅうざん)」


「……ぐはっ!」


 ヤミガーメの回転が止まり、ヤミガーメの身体は綺麗に斜めに真っ二つになった。


「おお!」

「すごい!」


 エリシリアとユミーリアが驚いていた。


「剣から放つ闘気にあわせて斬撃を加える技だ。闘気によって開かれた筋に斬撃をあわせる事で、剣の衝撃が相手に直接通る様になる。これぞ爛々二重斬」


 俺はランラン丸に聞いた通りの事を語って、刀を鞘におさめた。


 チンッと音を鳴らすと、ヤミガーメが血を噴いた倒れた。


「さすがですね、リクト様」


 マキがこちらに向かって頭を下げる。


 俺は戦闘が終わった為、お尻の炎を消した。


 またしても炎でズボンが燃え尽きていた。尻がスースーする。


 なんとも、しまらない感じだった。



「それにしても、魔界のやつらは倒しても魔石にはならないんだな」


 俺はマイホームでズボンをはきかえた後、真っ二つになって倒れているヤミガーメを見た。


「はい、魔界の者はモンスターとは別ですから」


 マキが答えてくれる。


「ご安心下さい。すでにヤミガーメからは魔力を感じません。完全に死んでいます」


 マキが頭を下げながら答えてくれた。


 なるほど、魔界のやつらが死んだかどうかは、魔力を感じるかどうかなのか。


 まあ、俺には魔力を感じるなんて特技は無いけど。


 ……いや、待てよ?


「ステータスサーチ」


 俺がそう言うと、俺の尻が光る。


 光は俺にしか見えない文字となり、俺の前に現れる。


《ヤミガーメ 死》


 うん、やっぱり見れたな。


 でも、死だけって、ちょっと怖いなこれ。


「リクト様、今のは?」

「死んでるかどうか確かめた」


 俺の言葉に、マキは首をかしげる。


「さすがはリクト様ですね。その様な事までわかるのですか?」

「ああ、便利だろ?」


 俺はそう言って親指を立てる。


「はい、とてもよろしいかと思います」


 マキも親指を立てて答えてくれる。


 ほんと、これくらいなら尻が光るだけで済むから良いよな。

 最近の技はいちいち尻が燃えたり凍ったりするから困る。


「それではみなさん、覚悟はよろしいですか? いよいよ魔界へまいります」


 俺達は大きな黒い穴を見る。


 この先が、魔界に繋がっているのか。


 俺達は覚悟を決めて、穴に入る。


 コルットが怯えていたので、俺はコルットを抱きかかえた。


「おにーちゃん」

「大丈夫、いざとなったらマイホームで帰れるさ」


 試してはいないが、マイホームなら帰れる気がしていた。

 だから俺は、あんまり不安には思っていない。


「それにしても、真っ暗だな。リクト、尻は光るか?」


 前を歩くエリシリアが俺に聞いてくる。


 確かに、こう暗いと真っ直ぐ歩いているのかもわからないもんな。


「任せろ。ゴッドフラッシュ!」


 俺はただ尻が光るだけの魔法、ゴッドフラッシュを唱えた。


 ピンク色の激しい光が、周りを照らす。


 俺達が進んでいる道は何も無い平坦な道だった。


 ゴッドフラッシュの光を頼りに、前に進んだ。


 やがて、出口が見えてきた。


 出口を抜けると、そこは……魔界だった。


 俺達が出た所は岩で出来た高台だった。


 空は紫色の雲におおわれている。

 所々、雷が走っていた。


 下には大きな森が広がっている。


 空にも下にもモンスターがウヨウヨ飛んだり歩き回ったりしていた。


「これが、魔界」



 俺達はついに、魔界へとたどり着いたのだった。


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