其の瞳にはいつも白いけものが映っている

@dymentars

第1話~私はいつもあなたを追いかけている~

木々の間を心地よい風が吹き抜ける。

ちょっと長めの耳羽を揺らし、静かに体を上下させて、見るからに猛禽類なものがいた。

 茶色の彼は夜行性で、この辺りの食物連鎖の頂点に居座っている。

 ネズミや、蛇等は勿論、自分より小さな鳥類も食らう。狩りの時間は、日が落ち、月が森を照らすころだ。

 その夜、彼は瞼を開き、紅に染まる目を見開いた。暗闇ではかかせない、夜目を使って見通す。

 今日は、ネズミしか見つからなかった。体の大きな彼には、ネズミだけでしのぐことは難しかった。

 今日は数を稼いでしのごうかと、考えながら降り立った枝にそれはいた。

 あまり確信はもてなかったが、それは小さな鳥類だと思った。空腹のせいか、考えれば考えるほどほんとにそう見えてくる。

 しばらくジッと見ていると、突如、それが翼を広げてギャーギャーと耳障りな声で喚き出した。

 彼は思わず怯んでしまい、荒く飛びだしたそれに、素早く反応できなかった。

 しかし、バッサバッサと羽音を立てるそれに追い付くのは、難しくなかった。

 それを見逃さないように、殺気立った視線をそれにぶつけた。

 だが、カーチェイスならぬ、バードチェイスは、すぐに終わりを迎える。

 白のそれが一本の大木にぶつかった。

そのままフラフラと堕ちてゆき、頭の辺りから、月に照らされた赤い液体が流れだした。

 彼は、この空腹から早く解き放たれたくて、とどめを刺そうとした。

 すると、白のそれが倒れている辺りから、キラキラしたなにかが湧き出し、白のそれを包み込んだ。

 彼は、獲物を横取りされたと思い、ついでにそのキラキラも仕留めようとした。

 そして、彼はキラキラに向かってトップスピードで滑空した。

 キラキラを脚の爪で掻いた。瞬間、彼の視界がブラックアウトした。

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