私小説化

 白く濁った青が空の大半を埋め尽くしている。僕は錦江湾の鈍い反射光を見詰めながらハンドルを握り締めていた。

 8月の熱気がアスファルトから沸き上がり自慢気に陽炎を造り出している。

「ありがとう。御礼に缶ビールでも買ってくよ」

 スマートフォンのイヤホンマイクに呟いてから後悔した。なぜ、二人きりの飲みに誘えないのか。

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