第1話 風なき王城

遥か遥かの国には、風のエルフたちが住んでいた。


しかし、一つ変なところがあった。この国では、風の流れがなかなか感じ取れなかった。しかも、丸ごと城の中で、出入りの口が見つからなかった。空を見上げると、厚い雲に覆われている、微かの日差しすら透かせなかった。


こんな城で、精霊たちは、なんの変哲も無い生活を送っていた。


ある日、一人のエルフは、そのを打ち破った。その精霊の名はブリーズ、そよ風のブリーズ。一番明るくて、好奇心が強い風のエルフである。



「ハスのお爺じゃん、風はなんですか。」ブリーズは一番歳のハスお爺さんに聞いた。


「あんたは、わしのそばで走って、走って、生み出した気持ちいい空気の流れ。それは風というもんじゃん。」ハスお爺さんは微笑んで答えてあげた。


「私たちは風のエルフのではないか。自由自在に風を操ることはできないのですか。」好奇心が溢れたブリーズは質問を続けた。


ハスの爺さんが空を見ながらこう言った。

「懐かしいなあ、我々風のエルフは昔から、風 火 水 地それぞれの属性を持つエルフの中で、空で飛べる唯一の精霊でもある。残念ながら、いつの間にか、飛行能力が失ってしまって、足に一本の鎖がついている羽目になちゃった。」

「…うう…あ…この問題を考えると、頭が急に痛くなる。先に部屋に戻るわ。」ハスお爺さんが、頭を片手で撫でながら、椅子から立って、自分の部屋へゆっくりと歩いた。


お爺じゃん大丈夫かなあ。ブリーズは遠く去ったハスお爺さんの姿を見るとこう思った。


「あーー」ブリーズは、一つのことを思いついた。

「今日はゲールの試合の日だ。もうすぐはじめるだ。早く闘技場に行かなくちゃ。」

そう思って、ブリーズは走り出した。足につく黒の鎖はいい響きがした。

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