第30話 番外編3 船魂たちの集まり

1948年5月 横須賀


「この度は大いなる戦を無事に生き延びられた皆さんご苦労様でした。とくに空母の皆さんには多大な労苦をさせたようでご苦労でした」


「いえ。三笠さん私たちはそれがお役目ですから。ですが私は装甲飛行甲板と新型の蒸気式発艦促進装置と斜め飛行甲板、光学式着陸装置を装備されたジェット対応空母になりましたが赤城さんは残念ながら余力がないということで練習空母になったのが少し残念です。今までともに戦って来た間柄ですから」


三笠の質問に青い装束の娘が答えるそして赤城とよばれた赤い装束の女が口を開く。

「いえ。加賀さん。貴方はそれだけの力を有していたそれだけの話ですよ。私はそれだけの余力を持ち合わせていなかったので退役する鳳翔母さんの後を引き継いで新たな海鷲達を育てる仕事につきましょう。飛龍も私と同行するそうです」

「そう。五航戦の皆さんと言っていたけれど最後には私たちが5航戦に格下げですからね。でも、高槻と共に戦えるならそれはそれでよしだね」

「でも、彼も新型の信濃に配属されちゃったからね~。なんというか彼の手で女にされたのが自分の手の届かない所に行ってしまうというのは少し寂しいものね」

と加賀と言われた娘が言うと三笠が言う。

「ですが高槻さんも結婚なされたそうね。馴れ初めはイギリスで知り合った陸さんの飛行隊の女性とか。ある意味お似合いのカップルというべきなのかね」

それに加賀が答える。

「ええ。それに神谷という女性も瑞雲という女性も私のことに気が付いていた素振りを見せていました。姿もいると確信した目つきでしたね。会って話そうとしたのですが高槻とあの人の逢瀬をみてこれは勝ち目がないと悟りましたね。で、私はあのふたりに対しておめでとうと祝福をしてあげたのです。そして多数の子宝に恵まれるようにと祈りを彼女に上げました」

「そうですか。おやおや。噂をすれば彼と奥方様がやってきたようですよ」

「いやはや。艦娘たちの集いに常世のものが来ていいのかな。恐縮するよ」

「そうやな。加賀はんやったな。すまなんだ直衛任務やったんやけど防ぎきれんであんたの玉の肌を傷つけてしもうたンはウチの落ち度や堪忍な」

「晴子でしたね。べつにいいわよ。戦故に傷つくこともあるし倒れることもある。蒼龍もベルファスト沖で客死してしまったけれど後悔はしていないと思うよ。戦いで死ねれたのだからね」

「さよか。そう言ってもらえると助かる。で、そちらの婆さんはどちら様で」

「私は三笠でございます。以後お見知りおきを」

で、友三郎がいう。

「日本を離れる時の乱痴気騒ぎ以来ですね。その先日は・・・」

「別にいいですわよ。死出の旅となる可能性のあった航海です。あれくらいの乱痴気騒ぎは気にしてません」

「そうですか。ですが長門たちも退役が決まったそうですね。なんでも太平洋漁業という会社が買い取って長門丸という捕鯨母船になることも決まったそうですね」

「ええ。彼女も戦艦の時代は終わったということを悟ってましたし、アリューシャン沖で米戦艦舞台とドンパチできて満足したといってましたね。損傷がひどく修理可能なれどというやつで退役が決まったみたいですがそこに目をつけたのが水産会社でしたね。で、一度スクラップとして引き取られて再整備されて南氷洋に赴くそうですよ。氷海に耐えられるように装備を整えるそうです」


それを聞いた晴子がいう。

「たぶん、ウチの感やけど彼女きっと南氷洋や南極で世界にあっと言わせるような船になるやろうな~」


それを聞いた三笠が言う。

「そうですね。そうなるといいのですが・・・。陸奥は三陸沖で散りましたし、伊勢日向は強襲揚陸艦に扶桑、山城は補給艦になってしまいましたね。そして金剛姉妹たちは榛名以外は皆客死してしまいましたね~。わが娘とも言える金剛もですから」

「そうですね。思えば金剛さんに男にしてもらいましたからね」

「そうなんか。まあ、ウチと付き合う前やさかい別にかまわんよ。それにあんたが艦娘たちとナンボ関係を持ってもウチは全く気にしないで。どうせ帰る場所はウチのところやさかいなぁ」

と晴子の言葉に彼は笑っていたりしていた。

そんな感じで騒いでいると大和姉妹がやってきていた。それに翔鶴型、大鳳型、改装あいなったバンガード改め装甲空母蝦夷がやってきた。


「大和型一番艦大和まいりました」「二番艦武蔵参る」「大和型三番艦空母信濃参りました。隣のこの子は4番艦の能登です。能登姉さまに挨拶を」

「大和型4番艦能登です」

といって彼女は信濃の陰に隠れちゃったわけだ。

「大鳳型一番艦大鳳。姉さまお久しぶりです」

「二番艦白鳳といいます以後よろしく願います。ですが大鳳型は私でおしまいになります。以後ジェット対応型ということで雲龍型と私の装甲を合わせた大型空母の建造がきまりました。まだ進水はまだですがどうやら如月重工の知多工場で建造が始まったようです」

「翔鶴型一番艦翔鶴まいりました」

「二番艦瑞鶴まいりました」

四番艦龍鶴りゅうかくまいりました」

そして「HMSバンガード改めIJN蝦夷。まいりました。三笠姉さまにお目見えするとは光栄です」

それを聞いた三笠は蝦夷に尋ねる。

「あなたが蝦夷ですか。遠路はるばるご苦労でした。そのビクトリーさんは・・・」

「それがあの人は44年のロンドン空襲で焼け死んでしまいました。残念ですが英本土がドイツに蹂躙されてしまうのは悔しいですよ。いずれ私やイラストリアス姉さん達とともに奪還をしようと思います。そのためにですがそれよりも私は女王陛下を日本の保護のために日本に売られて来たと聞きます。それゆえ私を如何様に使っても構わないです。私は所詮人に使われる存在ですのでね」

それを聞いた三笠は残念そうにしていた。


そして戦でちった船たちの黙祷がすむと通夜を兼ねてささやかな宴が行われた。


そして宴もたけなわの頃三笠が翔鶴に尋ねる。

「翔鶴。雲龍たちはどうしたのでしょうか」

「彼女たちは今シンガポールやパラオ、トラックなどに資材輸送の任務に就いています。雲龍うんりゅう剣龍けんりゅう黒龍こくりゅう白龍はくりゅうの4隻はグアム、サイパン、パラオへ航空機や資材の輸送任務についてますね。そして蟠竜ばんりゅう石龍せきりゅう神龍じんりゅう応龍おうりゅうは日本近海でそれぞれ哨戒任務についてますね。あと軽空母の大半は過酷な船団護衛任務中に海にちってしまいましたね。まあ、重巡たちも皆ドックで修理や解体だそうです。そういえば鳳翔姉さんもでしたね」

「ええ。龍驤は残念ながら船団護衛中に米潜水艦の雷撃で呆気なくでしたね。私はどうやら世界初の空母ということで三笠姉さまの隣で繋留されて記念館になりそうですね。それはそれで名誉とも言えるかもしれません。これから生まれてくる空母達に伝えようと思いますあなた方の思いをね・・・。それに千鶴せんかくと蒼龍はそれぞれ欧州で散ってしまいましたね」

「そうですね。千鶴せんかくはUボートにやられましたね。あの時はまだ船団護衛などが稚拙だったというかおざなりになっていた時に潜水艦にやられて千鶴せんかくの悲劇といわれて即座に護衛総隊が生まれて今では連合艦隊よりも大規模な艦隊運用をする部隊になりましたね。瑞鳳たちも護衛総体に所属でしたね」

瑞鶴が答える。

「そうです。今ではヘリ空母として活躍しているそうですよ。なんというかレシプロから時代はジェットに置き換わりつつあるわけだけどね。あ、そうそう。高槻結婚おめでとう。遅れてしまったけれど一応お祝いしておくわ」

「そうかありがとな瑞鶴。しかしお前も大鳳とも相変わらず胸が薄いなぁ姉や妹を見習ったらどうなんだ」

「うるさいわね。こればかりはどうにもならないのよ」

「瑞鶴。あまり興奮すると余計小さくなるわよ」

「翔鶴姉は黙っていて」

とまあ、相変わらずのエキサイトしていると晴子が言う。

「なんや薄いんがコンプレックスなんか。おっしゃあ姉さんが豊胸のテクをおしえたるで~」なんて言いながら服を脱ぎ脱ぎしていた。そしてねずみ捉えるネコの如く一気に彼女たちを押し倒してこう言った。


「ふふふ~。あんたたちにおなごの快楽ちゅうのを教えてあげたるで~。まあ、お姉さんに任せておきなはれ」

と言いつつ瑞鶴達三人を呆気なく腰砕けにしちゃったりしていたわね。それを見た三笠は言う。

「殿方との目交いもいいのですが女性同士の目交いですかこれもなかなかいいものかもしれませんね」

「なんや。三笠はんも男しってるのかいな。相手はどいつなんや。まあ、言いたくないなら言わんでもええが」

「私は日本海海戦後に米内という士官がお相手してましたよ。それで満足でしょうか」

「米内やて。たしか首相になった海軍のお偉いさんだったな。そんな大物相手なんてね」

彼女が言うと三笠は答える。

「そうですね。ですが彼と知り合ったときはまだ彼は下っ端士官でしたよ。で、対馬の戦いの後損傷した私は佐世保のドックで休んでいた時に電達と一緒にね」

「そうやったんか。あんたも随分と男見る目はあったようやな」

「そうですね。貴方も気に入りましたよ。あなたの子供たちはきっとこの世界を変えるようなドデカイことを成し遂げる人物になるでしょうね」

「そうか。そうやったらええなぁ。じつは既に一人目いるんや」

「そうでしたかそれは目出度いですね」

「ありがとな。それと夫のこと良しなに頼んますわ。まあ、海と空にいる限り死にはしないと蒼龍に言われたそうやけどな」

「そうだな。まあ、あいつの今際の際にそう言っていたのを覚えている」

「そうですか。お幸せに」


「そうよ。せっかく掴んだんだからその花嫁は逃がしちゃあダメだからね」

「そうさせてもらうよ」

そしてふたりは去っていきました。その後宴も終わり鳳翔と二人で片付けをしているとラジオからとんでもないニュースが入ってきたようね。


内容を聞くとどうやら東ドイツでクーデターが発生しドイツは統一したようね。そしてその数日後イタリアではムッソリーニが亡命し国王派が政権を握ったというニュースが次々と流れていった。どうやら欧州で再び統合の嵐が吹くということかしらね。



それから特に問題はなかったけれど昭和24年西暦1949年にアメリカ連合国がとんでもないことをやらかして世界は再び戦争のへと進むことになった。




今回の大戦で生き延びた船を紹介するわね。戦艦から


長門 生存 退役され現在は某水産会社の捕鯨母船として南氷洋で活躍

陸奥 沈没 アリューシャン沖海戦で大破し曳航中に三陸沖で雷撃をくらって沈没

扶桑 生存 大戦前に弾薬、燃料、食料、修理などをおこなう補給艦に改造され生き延びる。現在延命工事中

山城 沈没 補給艦に改造され欧州に派遣される。そしてソコトラ島沖で米航空機の攻撃を受けて撃沈される。


伊勢 生存 強襲揚陸艦に改造。現在は延命処置のため改造工事中

日向 生存 日向と同じく強襲揚陸艦に改造され現在は延命工事中


金剛 擱座 沖縄沖で敵潜水艦による雷撃を庇って損傷し沖縄で擱座放棄された。解体済み

比叡 沈没 ソロモン沖で敵艦隊と交戦し沈没

榛名 生存 生き延びるも年数経過により退役する。

霧島 沈没 インド洋で敵機の攻撃をうけて沈没


重巡洋艦 

古鷹 沈没 ソロモン沖で大破し味方駆逐艦が処分

加古 生存 いくつもの大きな海戦をくぐり抜け大破状態なれど生存している。退役解体が決まってしまっている。


青葉 沈没 インド洋で雷撃をくらって沈没

衣笠 沈没 地中海のマルタ島沖で雷撃を食らいマルタ島の海岸に擱座。爆破処理された。


妙高 生存 多少損傷をうけるも現在延命工事中

那智 沈没 フィリピンで敵潜水艦の雷撃を受けて沈没

足柄 生存 欧州に派遣され飢えた狼の名前のごとく暴れまわる。雷撃を喰らうも生き延びて現在妙高と仲良く延命改造工事中

羽黒 生存 足柄と組んで欧州に出向く。現在も稼働中


高雄 生存 通信能力の高さから海上護衛総体に転属され船団の指揮と対空防護をおこなっていた。現在も稼働中

愛宕 生存 高雄と同じく海上護衛総体に転属。欧州船団や中東船団の旗艦として活躍船乗りの間からパンパカパーンのお姉さんと親しまれているようだ

摩耶 生存 初期に爆撃を受けた損傷修理のついでに艦隊防空指揮艦として改造され空母機動部隊とともに戦った。現在は損傷修理のために入渠中

鳥海 沈没 摩耶と同じく防空艦として改造されるも地中海で敵機の攻撃を受けて沈没


最上 沈没 中部太平洋で潜水艦による雷撃を食らって沈没

三隈 沈没 マーシャル諸島で敵空母機動部隊の敵機にやられて沈没

鈴谷 生存 大戦前に後部砲塔が吹っ飛ぶ事故をおこしてその際に多数の艦載機を積む航空巡洋艦に改造され海上護衛総体に転属される。現在はヘリ搭載巡洋艦として活躍中。

熊野 生存 鈴谷と同じ改造をうけて活躍中。現在は損傷修理と改造のために入渠中


軽巡洋艦 

天龍 生存 海上護衛任務に従事し生き延びるが酷使による機関疲労などで退役した

龍田 生存 天竜と同じく海上護衛任務をおこない仲良く退役が確定している


夕張 沈没 紅海で敵機にやられて沈没


球磨 沈没 北太平洋で沈没

多摩 沈没 護衛任務中にアレクサンドリア沖で雷撃を食らって沈没

北上 沈没 地中海で沈没

大井 沈没 アリューシャン沖海戦で敵機にやられて沈没

木曾 生存 練習巡洋艦に艦種変更された


長良 沈没 護衛任務中のフィリピン沖で大破雷撃処分

五十鈴 生存 海上護衛総体に所属し過酷な護衛任務を全てこなす機関損傷ひどく退役が確定

名取 沈没 護衛任務中にアラビア海で輸送船を庇って轟沈

由良 沈没 ソロモン沖で沈没

鬼怒 沈没 ソロモン沖で沈没

阿武隈 生存 大破状態で停戦を迎える。そのまま退役解体された


川内 生存 主な海戦を生き延び無事に退役をむかえた

神通 生存 川内と同じく生き延びることができた。現在は沿岸防護にんむについている

那珂 沈没 トラック沖で敵潜水艦にやられて沈没


阿賀野 生存 空母機動部隊の直衛として活躍中

能代 生存 阿賀野と同じく

矢矧 生存 神通から第二水雷戦隊を引き継ぐ

酒匂 生存 最新鋭巡洋艦として空母機動部隊の随伴艦となる予定

手取 戦後生まれ

黒部 戦後生まれ


空母

鳳翔 生存 大戦中は練習空母として活躍し退役がきまる。退役後記念館になるそうだ。

龍驤 沈没 護衛任務中に敵潜水艦の雷撃を受けて沈没


赤城 生存 練習空母になる

加賀 生存 ジェット空母として延命工事中


蒼龍 沈没 アイスランド沖で敵機にやられて沈没

飛龍 生存 赤城とともに練習空母に転用が決まる。


翔鶴 生存 太平洋で縦横無尽に活躍する。損傷は多数あったが沈没には至らず

瑞鶴 生存 翔鶴とペアを組んで戦った

千鶴せんかく沈没 ジブラルタル沖で敵潜水艦にやられて沈没

龍鶴りゅうかく生存 インド洋で活躍し現在も活躍中 


大鳳 生存 ジェット空母に改造工事中

白鳳 生存 装甲空母として現在稼働中


雲龍 生存 

剣龍けんりゅう生存

黒龍こくりゅう生存

白龍はくりゅう生存

蟠竜ばんりゅう生存

石龍せきりゅう生存

神龍じんりゅう生存

応龍おうりゅう生存


信濃 生存 大和型3番艦として戦艦として生まれるはずであったがキール据付の状況で空母に改造が決まり大型装甲空母として就役する。


能登 戦後生まれ。現在艤装工事中 戦力化は数年後となる予定

小型空母

瑞鳳 生存 ヘリ空母に変更となる

祥鳳 沈没 ソロモン沖で沈没

白鷹 生存 強襲揚陸艦に艦種変更が決まった

大鷹 生存 ヘリ空母に転用

冲鷹 沈没 地中海沖で沈没

雲鷹 沈没 台湾沖で沈没

海鷹 生存 ヘリ空母に転用

神鷹 生存 強襲揚陸艦に転用

隼鷹 生存 強襲揚陸艦に転用

飛鷹 沈没 マリアナ沖で雷撃をくらって沈没

龍鳳 生存 補給艦に改造が決まった



駆逐艦などは省きますね。

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