戦艦三笠の回想録

テンマP

番外編

第1話 クロスロード作戦前夜の物語 前編

横須賀にある三笠の自宅にて・・・

「クロスロード作戦が決行されて70年近く経過ですか。酒匂は今にして思えば幸薄な船でしたね。未だ転生はなさそうですが長門ともにあの世で仲良くね・・・」

と三笠が言うと。

従兵当番であった二代目あたごが尋ねる。

「酒匂ですか。一体どのような船なんでしょうか。戦艦長門とともにクロスロードに従軍したと聞きますが過去の私とはあったことがないので。彼女がどのような娘だったのかわからないのです」

「ですね。では語りましょう」

そして三笠の語りが始まる。


私は阿賀野型軽巡洋艦4番艦の酒匂なんだけれど私が生まれた時にはすでに上の2人の姉さんは戦没していて3番艦の矢作姉さんからいろいろと戦いの手ほどきを受けていたんだ。

そして昭和20年4月の出撃でわたしも参加したいとダダこねたんだけど。

足でまといになるからダメと言われて私は呉に留め置かれる事になったの。

で、大和さんを旗艦にした最後の水上攻撃部隊だったけれど戻ってきた雪風から聞いた話では敵空母機動部隊の攻撃でみんな死んだんだ。

で、私は呉から舞鶴に疎開されてそこで終戦をむかえたんだ。それから呼び出されるまで私は武装を全て外されて満州などからの復員引き上げ船として活躍していたんだ。

で、21年1月にその任務から外されて長門姉さんが待っている横須賀に行くことになったの。


そして横須賀で長門姉さんとあったけれど印象としては少しやつれたかんじだったかな。でも磨いたら美女だと思うけれどね。


「あ。あの。阿賀野型4番艦酒匂。横須賀に着任しました」

「む。私は長門だ。もはや帝国海軍は消滅した。楽にして構わん」

「はい」

そんな感じでしばらく横須賀ですごすことになったの。で、三笠さんに会うという話になって長門さんからいろいろと教わったね。

そして長門さんが三笠さんの家の扉を叩いてしばらくして三笠さんと会ったの。

「三笠姉さま。戦艦長門参りました。おい。酒匂。三笠姉さまだ。挨拶しろ」

「はい。私は阿賀野型4番艦酒匂です。帝国海軍のために尽くします」

というと三笠姉さまが突然言ってきたの。

「酒匂。もはや帝国海軍は消滅しました日本のためと言いなさい」

「はい。では訂正して日本のために尽くします」

「よろしい」

そして茶室に案内された私は物珍しさからいろいろと見て回っていた。

「これ。酒匂。キョロキョロするんじゃない」

「いいのよ長門。彼女にとっては珍しいのでしょうね。酒匂だったわね。居間にアメリカのチョコレートやキャンディがあるけれど食べるかしら」

「え。良いの。喜んで」

と、まあ、そんな感じで私は居間にあったチョコレートをカブリツイテいる頃長門たちは

「なんというか無邪気なものだ。米軍はあの様な子供まで殺そうというのか。私は死ぬのが怖くないといえば嘘になりますが。ですが無様な真似はしないように努めたいですが・・・。何も知らない彼女が少々不憫で・・・」

「ところでこの時期にあなた方が来たということは米軍は例の実験を行うつもりなのですね」

「はい。私も本来ならば捕鯨母船として第二の船人生を歩む予定でしたがGHQの横槍で流産となりました。どうやら奴らは勝者の証として我らの首が欲しいようですね。それが奴らの本音ならば私に腹を切らせれば良いものを・・・。

ですが私も覚悟を決めました。三笠姉さまこの長門大和とともに魔道を往く覚悟を決めました。例の墓所の封印を解かせてもらいます」

それを聞いた三笠は言う。

「なりません。そのようなことをすれば貴方の転生は叶わなくなりますよ」

「覚悟の上です。私だけならいざ知らず。あのような子供である酒匂まで処刑するとは米軍のやり口に腹を据え兼ねましてね。せめて彼女には私ができなかった捕鯨母船として生き延びさせてやりたかったですよ・・・」

そしてそれから私と長門姉さまはいっしょに行動することが多かったんだ。

で、長門姉さまに連れられて私も女になれた。相手が矢作姉さまと同じ殿方で女になれたのは良かったよ。

そして出発前日に三笠さんがご馳走してくれると聞いて喜んで三笠さんの庵をたずねたんだ。もちろん長門姉さまと一緒にね。

そしてちゃぶ台の上に見たこともないようなすごいご馳走が並んでいた。

話には聞いていた刺身やら天ぷら、それにエビフライにハンバーグという料理がいっぱい並んでいたんだ。

「ねえ。三笠姉さまこれ酒匂が食べていいの」

「ええ。もちろんよ。長門もたべるわよ」

「そうだ。だが酒匂のために用意したのだ。だから酒匂が最初に食べていいのだぞ」

「それじゃあ頂きます」

というかんじで私は夢中になって目の前のご馳走を堪能していた頃長門さんたちは・・・



「なんというか、かつての海軍の響宴を知っている身とすれば実に落ちぶれたというか情けなくなります」と三笠

「三笠姉さまのおっしゃるとおりです。なんと言いますか。第二次ロンドン会議で我ら全て廃艦にしてでも戦争は回避すべきだったと思います。ですが既に終わったことです。わたしも日本での最後の晩餐のご相伴に預からせてもらいます」

「ええ。どうぞ」

「酒匂。この赤い切り身はな。マグロという魚の切り身だ。それにこれがエビの天婦羅、そしてエビのフライだ。まあ、どちらも衣をつけているのだがどんどん食えよ」

「美味しいよ。本当に」

「そうか。このハンバーグも実にうまい。酒匂は食べてないのか。ならば口を開けるがいい。たべさせてやろう」

そんな感じで最後の晩餐がおわりたらふく食って寝ちゃった酒匂を見て長門は

「彼女だけは生き延びせてやりたかったよ。三笠姉さまもてなし感謝します。我々が生きて貴方と会うのもこれで最後でしょうが三笠さん達者で・・・」

そして翌日私と長門さんは星条旗をつけさせられてマーシャルに行くことになった


そしてマーシャル近くの海上にて


「ねえ。長門姉さま。マーシャルで一体何があるのかな。戦いは終わったんだよね」

「そうだぞ。戦いは終わったさ。きっと戦いがおわったから宴会が開かれるのさ」

「そうなんだ。そうだね・・・」

(この娘に真実を伝えてなんになる。騙すことになるがこの長門。酒匂だけは苦しませずに死なせてやるからな・・・)

「どうしたの長門さん怖い顔して。そんなんじゃあ幸運も逃げちゃうよ。早く行こうよ」

といって長門を引っ張る酒匂

「ちょっとまて。私は機関の調子が悪いんだそんなに速度が出ないから引っ張るな」

そんな感じでマーシャル諸島にたどり着いた私たちは多数のアメリカなどの船たちとであったの

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る