Who am I?

Allen

私と私

あなたは、誰?


私は、あなた。


私は、誰?


あなたは、私。



二人の物語は交差する。そう。交sjmfhakifsoukakannzakijuisinonomeharukalolptakamurahuyukijosinonomeharuka…….





2016年9月1日 (木)

夏休み明け今日から学校が始まる。高校3年生である私神崎 颯夏は受験生であるがゆえに誰と遊ぶこともなく、塾通いに明け暮れる日々だった。たとえ、受験生じゃなくても地味な私には友達など数えるほどしかいなくて、友達と遊ぶなんてことがめったにない。そもそも、私は受験生なのである。遊んでいる暇などないのであるからして、至って友達が少ないからというわけではないのである。そう、至って友達が少ないわけでは…

「おっはよう!!」

そんな私の気持ちに気づいているのか気づいていないのか後ろから急に結城 秋菜が声をかけてくる。彼女は、クラス全員に明るく接してくれる、私とは真逆の性格の子だ。綺麗な茶髪でよく生徒指導に引っかかっているのを見かける。本人は元からこの色なんだとか言っているけれど本当のところどうなのだろう。

「久しぶりだね。夏休みどう過ごしてた?私は夏祭りに行って、友達と海水浴に行ってそれからそれから……」

その後も延々と話が続く。毎日が充実している人はいいなと思う。そういうことを思うと胸がチクリと痛む。なんだろうこの感じ。

このまま話をしていると長引きそうなので話もそこそこに私たちは自分達の教室へ向かう。

「おはよう」

教室に着くと右斜め前の席の篁 冬樹君がいつものように笑顔で挨拶をしてくれた。私の片思いの人。そう、私の片思いでしかない人。世間一般で言う初恋だからどう接していいかわからない。話しかけていいかもわからない。ただ、遠くから眺めているだけでそれで充分。そんな風に自分を納得させながら自分の席に着く。

「颯夏ちゃん、おはようございます」

隣の席の女の子が声をかけてくる。彼女は唯一の親友の東雲 春香。当たり前だがクラスの中でも一番心を打ち解けている。と思っている。いかにも大人しそうな見た目で普段から三つ編みしかも丸メガネである。また、人と喋る時は、いつもおどおどしている。私も、人と話すのは苦手なほうだが彼女のそれはまた別次元だと思う。普通にしていたら彼女は贔屓目に見ても美人さんなのに。

「夏休みどうでしたか?私は、ずっと勉強に明け暮れる日々でした。もう少し夏を堪能したかったですね」

彼女は日本最高峰の大学を受けるという話だ。全国模試の成績もいつも5位以内というのだから彼女の凄さがよくわかるであろう。

「あっ、ホームルーム始まっちゃいますね。また、後で話聞かせてくださいね」

1日はこんな感じに流れるように過ぎていった。流れるよう……に……



2016年9月2日 (金)

「颯夏ちゃんって篁君のこといつも見てますよね」

私は盛大にお茶を吹き出す。本当にお茶で良かったと思っている。ご飯なんか、口いっぱい頬張っていたら大変なことになっていた。お茶で良かったと心の底から思った。

「ゲホゲホ……いつから気づいてたの?」

春香は、私の背中を優しくさすりながら、質問に答える。

「そこまでは覚えていませんが、夏休み前には気づいていましたよ」

さすが我が親友と言ったところか。そんな細かいところまで覚えているなんて。私なんか覚えてたとしても前日の朝ごはんとか昼ごはんのことぐらいしか覚えていないだろう。

「もう、本当に颯夏ちゃんは食いしん坊なんですね」

顔に出てたらしい。春香は、すぐに私が考えていることを当てるから怖い。というか、怖すぎる。そんなの見てもわかるものだろうか。(私がわかりやすすぎるという説もあるけども)

「えっと、そのことについてはこれね」

そう言って私は人差し指を自分の唇にあて、そっと微笑む。

「うん。もちろん。こうですね」

春香も私と同じ動作をする。こういう何気ない仕草も本当に可愛いなって思う。私が男に生まれていたらどんなによかったか。

「颯夏ちゃん話もそろそろ終わりにして、ご飯食べ終わりませんよ。早く食べないと」

私はそう言われ、普段ではありえない速度でご飯をかき込んだ。

ご飯を思いっきり吹き出したことは言うまでもないだろう。



……そう言われるほど私ってわかりやすいのかな。

授業中。窓をぼんやり眺める。それぐらいしかやることがないのである。春香の近くにいると霞んで見えてしまうが私もそれなりに勉強ができるのである。

 いや、だってしょうがないじゃん!!初恋だし!!どうしていいかわからないし。正直、この恋が成就する可能性なんてこれっぽちもないんだから、それくらい許されるよね!?うん。きっと許されるわ。そういうことにしておこう。

授業中だというのに、私は何を考えているのだろう。澄ました顔して何てことを考えているのだろう。。そう、思いながら隣の春香を見るとちょうど春香もこっちを向いていた。

その表情は「颯夏ちゃん、わかってるよ」と言っている気がした。

……春香、あなたは一体私の何を知っているの?




2016年9月5日 (月)

「おい、起きろ。神崎。神崎」

はっと目を覚ます。そこは普段見慣れた自分の部屋、ではなく何故か教室だった。

「あれ、ここは?」

率直な疑問を先生に投げかける。

「お前は何を言っているんだ。さっきまで普通に授業を受けてたじゃないか。とうとう、ボケてきたのか?」

本当に失礼なことを言う。私はまだボケてなどいない。ではなく、いつ学校に来たのか。そこが、一番知りたい。

「先生。私は何時に学校に着きましたか?」

ただでさえ、ボケていると思われているのに私は一体何を聞いているのだろう。(しかも授業中)。辺りがざわつく。ほら、見たことか。

「すいません、何でもないです」

もう、本当になんなんだろう。私の記憶は一体誰が持っていたのだろうか。



「颯夏ちゃん?大丈夫ですか。体調が悪いのでしたら保健室に行ったほうがいいですよ」

春香は女神のような笑顔で私の顔を覗いてくる。

「う、うん。大丈夫かな。いや、大丈夫じゃない?と、とりあえず私のことは気にしないで……」

そう言って逃げ出そうとする私の腕をつかみ、無理やり振り向かせた。そうすると、春香の綺麗な瞳がよく見えた。

「無理は絶対にしてはいけません。颯夏ちゃんの事が心配です。だから、保健室に行きましょう。ね?」

春香は嘘偽りなどないような目でこっちを見てくるから本当に困る。そんな目で見られると私は、

「わかった。春香の言う通りにするよ」

と言って、頷くことしか出来なかった。



「颯夏ちゃん。ゆっくり休んでくださいね?」

私が頷くと春香は満足したようで、静かに保健室から出ていった。

それと同時にベッドに体を沈める。天使のような笑顔の春香を見ていたらなんかもうどうでも良くなってきたな……とりあえず、なぜ記憶がないのかはわからないけど疲れているだけかもしれないし、少し休もう。私は、そう思い目を閉じた。




2016年9月7日 (水)

今日もいつも通りの1N...1に...待って、今日は9月6日じゃなくて9月7日!?いや、そんなはずはない。さっきから何を驚いているか。そう、私には昨日の記憶がないのである。もちろん、細かく覚えていないなんてことはよくあることだと思うし逆にその日に心臓が何回動いたとか、好きな人と何回目が合ったかいや、これは覚えてるわ。とにかく、心臓が動いた回数とか瞬きした回数とかそんな細かいことは覚えてないのはまあ、いいとしよう。しかし、私が覚えていないのはそんなレベルではない。

彼と何回目合ったか。友達と何話したか。そもそも学校へ行ったのか。

何も覚えていない。何も、覚えてはいない。

長いこと考えていたが、思い出せるのはどれもこれも一昨日よりも前、実際には一昨日の記憶もかなり抜けてしまっているが一昨日より前の記憶しか思い出せないのである。考えても分からないので真相を確かめるべく、私は学校へ駆け足で向かった。



「えっ、昨日の颯夏ちゃん、ですか?」

春香は本当に驚いたようで、声が裏返ってしまっている。

「その質問の意図を図りかねますが、そうですね……そう言われると確かに昨日の颯夏ちゃんは少しいつもと少し違う感じがしましたね。普段篁くんを見ているだけの颯夏ちゃんが積極的に声をかけに行ったり、一度も話したことがないと思われるクラスメイトに自分から話かけたりといつもと違う感じでしたね」

そいつは一体誰なのだろう。少なからず私以外の誰かであることは確かだ。なぜなら、普段の私はそんなことしない。まず、以前にも述べた通り、私は本当にクラスの中でも地味なのである。本当に地味なのである。そんなにたくさん話かけに行けるわけがない。

「颯夏ちゃん何かあったんですか?昨日の颯夏ちゃんは本当に別人のようでした。そう、それはもう一人の颯夏ちゃんが突然現れたような感じでした。あっ、こんな感じで大丈夫でしょうか?」

大丈夫すぎます。

「ありがとう。助かったよ。」

そして、謎は深まるばかりである。

学校には行っていた。それは、証明された。なのに、今春香が言っていた私は本当に私なのだろうか。whо?繰り返し言うが、私はクラスでそんなキャラではない。いくら、頭がとち狂ったってそんなことにはならない。一体、私の身に何が起きたのだろうか。

「ねえ、私は一体誰なの。私は本物の神崎 颯夏なの?それとも?」




2016年9月9日(金)

朝になる。そして、朝一番に壁にかかっているカレンダーに目を向ける。

「やっぱり、1日飛んでる」

この前同様、やはり1日分の記憶がまるっきりないのである。しかし、本当にこの前と一緒なら学校に行っていないという訳ではないから、実際に行って空白の1日の話を聞いてみるしかない。

「また、変なことやらかしてなきゃいいけど...」

そう呟きながら、私は学校の準備を始めた。少し自分の部屋に違和感を覚えたが気のせいなのだろうと思い、そのまま急いで階段を駆け下りた。



「私ね、篁君のことが好きなんだ!!」

唐突に秋菜ちゃんがカミングアウトをしてくる。その時の私はというと飲んでいたお茶を全部吹き出すくらいびっくりした。私、この物語で何回お茶を吹き出すのだろう。そろそろ、ギネスを狙えるのではないだろうか。

「げほげほ……えっ、た、た、篁君のことがす、好きなの?」

「颯夏ちゃん、動揺しすぎだよ……」

春香は私の背中をそっとさすってくれた。至って私は動揺なんかしてないし。

「あっ、篁君が来てますよ。秋菜さん」

春香のその言葉を聞いた瞬間、秋菜は勢いよく立ち上がり篁君の元へ走り去った。

「颯夏ちゃん……いいんですか?」

春香は心配そうな顔で私を見てくる。

「大丈夫も何も……好きになったもんはしょうがないじゃん」

そりゃ、嫌だ。本当に嫌だ。でも、そんなことを言ったってどうにかなる問題じゃない。わたしだってそれくらいわかっている。

「そうか、しょうがない……しょうがない、よね」

私のその言葉を春香は自分を納得させるかのように呟く。

「そう、しょうがないよね」

そう言って、春香はいつもとは何ら代わり映えしない笑顔でそう言った。





2016年9月12日(月)

今日もいつも通り朝一にカレンダーを見る。また、日付が飛んでる……しかも2日も。本当に何なんだろう、これ。このまま続くなら病院に行くことも考えなきゃいけないよね……

うーんと思いながらも学校に行かないわけにはいかないので急いで身支度をする。


「やっぱり、思い出そうとしても思い出せないしなんか、こう記憶が薄れているというよりかはそこの部分だけ記憶が誰かに捥ぎ取られるような感じ……なんだよな」

私は自分の腕をさすりながら呟く。春香に聞くしかないか。とりあえず、学校に行かなきゃ私は学校まで全力で走った。


「春香、春香……」

私は、見慣れている背中に声をかける。しかし、当の本人は気づいた様子がない。

「ねえ、春香ってば……」

前に一歩踏み出さなければ良かった。何で、前に一歩踏み出してしまったのだろう。そこには、目を疑うような景色が広がっていた。

「篁くん……あの、私と付き合って下さい」

春香の口から出た言葉を私は理解出来ずにいた。あれは、本当に春香なのだろうか。



篁くんが春香にどんな言葉をかけるのかも聞きたくはなかった。例え聞いたとしても、その言葉を今の私が冷静に理解出来るわけがない。

そう思い、私はその場から走り去った。



気づいたら自分の家に着いていたようだ。どうやって帰ってきたかは覚えていないが、とりあえず帰って来れたのだしと思い扉を開けた。家にはいつもの如く母がいたが、泣きはらしている顔など見られたくもないので私は急いで部屋に向かった。

部屋に入ると、いや扉を開けた瞬間に私は自分の部屋に起こっている違和感に気づく。

部屋の中には、私と同じ顔をした女の子がベッドで寛いでいるからだ。

「あら、おかえり。思ったより遅かったじゃない」

その少女、私と同じ顔の少女は言う。

「あなたは、誰?」

私は私と同じ顔を持つ彼女に問う。目の前に鏡でもあるのではないかというぐらい瓜二つである。もちろん驚きもあるが、何故か思うほどに驚いてはいない自分がいた。

「私?そうね……簡単に言えば第二のあなたってところね」

これまた私とそっくりの声で私に語りかける。

「ふっ、その泣きはらした顔を見ると好きな男に振られたようね。それとも、他の女に取られた?あながちいつもあんたの隣にいた親友ちゃん(笑)にでも取られた?」

「!!」

なぜ、それを知ってるのだろう。その場面は私しか見てないはずなのに。

「だから、さっきも言ったでしょ。私は第二のあなただって。よく思い出してみてよ。あなたには記憶が無い日とかない?」

ある。ありまくる。ここ最近1日、酷い時には2日分の記憶が無い。思い出そうとしても、ただ頭が痛くなるだけだった。

「あなたが記憶無い日は私が代わりに学校に行ったり日常生活を送ってたわけ。これで、わかったかしら?」

わかりすぎるくらいにわかった。全てを納得した。どうりで辻褄が合わないわけである。

「あの、あなたは一体?」

「あんたの性格本当嫌い」

彼女は私の言葉など聞こえないかのように喋り出す。

「皆に分け隔てなく接しているけど、それは単にあんたの性格がいいわけじゃなくてただ、敵を増やさないようにしていただけ」

「やりたくない仕事を押し付けられても平気な顔をして、悔しいのにへらへら笑って。ただ、あなたは自己を犠牲にすることはかっこいいと思ってる勘違い野郎なだけ」

「好きな男を取られたくないのに、あなたは心の中でしょうがないかと思っている。向上心がないだけ」

「出来ないことを言い訳にして何もかもから目を背けていただけ」

「」

「だから、あんたはいつでもあんたのままなのよ」

『あんたに何が分かるのよ!!!!』

最初は黙って聞いていた。頑張って我慢していた。でも、もう限界だ。涙が止まらない。誰もお願いなんかしていないのに次から次へと涙が溢れてくる。

「やっと。やっと、あんたの本音が聞けた。なんだ。あんたにも自分の意志があるんじゃん」

彼女は、第二の私はさっきまでとは打って変わったように微笑みだした。その笑顔は、昔の私を見ているようだった。

「ねぇ、第一の私」

第二の私は、優しい声で話しかけてくる。

「私を。第二の私でしかない存在を。その手で殺して」

気づいてはいた。二人も同じ人間が存在してはいけないことを。でも、私は私を殺さなければいけないのだろうか。なんで。

「この世に二人も同じ人間は存在してはいけないの。だから、ね?」

わかってる。わかってる。わかってる。だけど、、、

「そんなの絶対に嫌だよ」

私は、そう言い第二の私をそっと抱きしめた。目に涙をいっぱい溜めて。彼女は驚くほど頼りなく、そして儚くこの世には存在していないかのごとくだった。実際していないのだが、、、そう思うと次から次へと涙が溢れてきた。それは、彼女のその儚げな肩へも落ちていった。

「お願い...お願いだから一人にしないで...私たち二人で一緒でしょ。ね?」

そう言うと少し寂しげな表情をしたあと柔らかい笑顔で、

「ありがとう」

そう告げて消えていった。私は、彼女の感覚が無くなるまでずっとずっとずっと抱きしめていた。

ずっとずっとずっとずっとずっとずt........






今日も一日が始まる。もう何日か分の記憶が消えることはなかった。

「でも、何かが思い出せないような気がするんだよね...」

そう、それはきっと本当に数分だけで、きっとどうでもいい記憶なんだと思う。それなのに、何故か心の中がモヤモヤする。そう思っていると私は机の上に開きっぱなしのノートを見つけた。何だろうと思い覗いて見るとそこには、私と同じ字で『ありがとう』と書かれていた。

「何も覚えてないけど、何でだろう。すごくこの文字が懐かしいきがする」

そのノートをそっと閉じ、私は部屋を出た。

「大丈夫。今の私ならきっと出来る」


私は親友の元へ走った。








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