魔装討女マレキウムレオ ―パワードスーツとオタクと魔法少女―
ミレニあん
プロローグ
#1 お前のような魔法少女がいるか
魔法少女は現実に存在する。
『魔法少女マニア@〇〇〇
今日も魔法少女を発見! やっぱかわええな……。
返信先: @△△△
FF外から失礼! こっちも中々キュートですな……サイン貰いたい』
魔法や能力を駆使し、正義の為に戦う少女達を魔法少女と呼ぶ。
一人や二人ではなく多数存在しており、なおかつ敵もいる。
『《速報》 地元で魔法少女とモンスターが戦っている件 《戦闘》
>>21
今回は狼型モンスターか! 牙がすげぇ(小並感)。
>>32
ここどこ? リアルで見たいけど』
悪を倒し、平和の為に戦う魔法少女。
そんな彼女達であるが、その中には何とひと際珍しい存在がいる。理由は、彼女自身の姿にあったのだ……。
===
「ヒャハハハハハハア!! 破壊だ!! 破壊してヤルうううう!!」
ある街に響き渡る、甲高い奇声。
街の中を人々が恐れをなして逃げている。誰もが我先へと疾走しているが、中には背後へと振り返っている者もいた。
そこにいたのがずばり『怪人』。爬虫類の鱗を身体中に生やし、手足には鋭い爪。頭部はトカゲその物で、後部には長い尻尾が生えている。
そして何と言っても、人間と同じように直立している事。いわゆる『リザードマン』とも呼べる存在だった。
「ヒャハハ!! オラァア!!」
怪人が一台の自動車に手を掛けた。自分より重いだろうそれを軽々と持ち上げていき、乱暴に投げ飛ばす。
自動車が向かう先は一つの本屋。中の店員が恐怖で隠れようとしているのが窓から見え……。
「……ン!?」
しかし直後、自動車が跳ね飛ばされた。驚く怪人だったが、向かってくる自動車を飛んでかわす。
着地し、何故車が飛ばされたのかを確認する怪人。するとその鋭い目が、驚くように見開く。
「な、何だお前ハ……?」
本屋を守るように立っている、一人の人間。
身体つきから女性だと分かるのだが、顔は把握出来ない。顔はおろか身体中、何と純白の鎧で纏っているからだ。
曲線を描いた装甲で、両肩と腰には翼のようなパーツが取り付けられている。さらには右手にはステッキ(杖)のような巨大な武器、極め付きには魔女の帽子にも見える、頭の突起物。
魔法少女の姿をした鎧人間――とも言うべき存在だった。そんな彼女が、緑色に光る目で怪人を見つめていく。
「……こんな奴、見た事ないゾ……? まぁ、誰だろうか何だろうが、ここで八つ裂きに……」
怪人が喋り終わろうとした、その時。
一瞬にして鎧の魔法少女が急接近。呆気に取られる怪人に目掛けて、杖状の武器を振り下ろす。
「グエッ!?」
見事に頭部にヒットし、よだれがこぼれていく。さらに魔法少女がもう一回振るうも、それを受け止める怪人。
怪人の長い尻尾が魔法少女へと向かう。しかし尻尾を回避し、怪人へとサマーソルトキックをかます彼女。見事に顎に直撃し、武器から怪人の手が離れる。
「グウウ! 調子に乗んな……アバ!!」
何かを言おうとした怪人の腹に蹴りが入った。吹っ飛んで地面に倒れる怪人。
彼がすぐに顔を上げると、既に自分に目掛けてジャンプする魔法少女の姿。その緑の目で、真っすぐ怪人を捉え……。
「ま、待テ!! 話を……!! グアアアアアアアア!!」
強烈な音と共に、怪人の悲鳴が湧き上がっていく。
頭部に武器を叩き付けられた怪人が昏倒。そのまま動かなくなり、辺りには静けさが増していった。
「……ふぅ」
ようやく戦闘が終わり、一息を吐く魔法少女。すると彼女が思い出したかのように本屋へと向かう。
その時、純白の鎧が消え、中から中身が現れたのだ。変身解除したその人間が本屋に入ったかと思えば、吞気に本を漁っていく。
「すいませーん」
「……あ、はい……」
怪人の襲撃に、レジの中でしゃがんでいた女性店員。
彼女が顔を上げると、そこには一人の少女が立っていた。長い茶髪を二つのおさげにし、小柄な身体が特徴的で、なおかつ目が半開きでいわゆる『ジト目』になっている。
そんな彼女が五~六の本を置いていく。漫画にライトノベル、ゲームの攻略本……。
「これ全部下さい。あっ、カバーは大丈夫ですので。ついでにレシートは結構です」
彼女の名は
ごく普通の女の子だが、これでもあの鎧魔法少女の正体である。そして何と言っても、
どうしようもないレベルのガチオタであった。
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