おしゃれ本屋

 ある日家の近くのおしゃれ本屋へ行くと、あなたはおしゃれじゃないから入ってはいけません。とつんとしたお姉さんに言われました。


 くそー、俺もオシャレになってやるぞ!と思い、魚屋へ行き胸にホタテの貝殻を二つつけました。これでおしゃれだ。これで本屋に入れるぞ、と再び本屋へ行くと


「あなたは本屋には入れないけど水族館には入れますよ。」


 と言われました。私は腹が立ちました。はらわたが煮えくりかえりました。


 カタカタ、カタカタ


 と、胸のホタテも怒りに震えました。しかしここは、ホタテの出る幕ではありません。


「しっ、ホタテは黙ってなさい!!」


 と、厳重に注意しました。


 ぽけー!!


 帆立は反省して静かになり、死にました。


「これであなたは水族館にも入れなくなりましたね。」


 と本屋のお姉さんは言いました。すまし顔で言いました。明らかに馬鹿にしています。


「誰のせいでこうなったと思ってるんだー!!」


 と私は怒鳴ってしまいました。顔を真っ赤にして怒鳴ってしまいました。でも、こんなことをしても亡きホタテたちが帰って来るわけではありません。すぐに虚しくなりました。涙が目から溢れます。ホタテとの思い出が溢れます。一緒に本屋へ向かって歩いたこと、一緒に本屋に向かって歩いたこと、一緒に本屋に向かって歩いたこと....


 ほたて、ほたて〜!


 ポタポタポタポタ


 溢れた涙が首を伝って胸の貝の中に入ります。そして、貝の中でキラキラと輝きました。それは、真珠のようでした。本屋のお姉さんはその様子をじっと見ています。


「あなたは真珠のような涙を流すのですね。美しい、美しい心の持ち主なのでしょう。おしゃれかどうかなんて関係ないわ。あなたはこの本屋に入る資格があります。」


 本屋のお姉さんは目を見開いて言いました。


 ガラガラー


 私はホタテの命を犠牲にして、本屋へはいることが出来たのです。


 完

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