体温計どこかな

 熱を測りたいのに体温計が見当たらなくて大変だ。どこかな体温計。ベッドの上で測ったと思うんだけどな。


「体温計君どこですかー!!体温計君どこですかー!!」


 ベッドの上を隈なく探す。が見当たらない。


 ボギッ!!ボギーッ!!


 なんか音がする。


 ボギッ!!ボギーッ!!


 外から聞こえる。


 ボギッ!!ボギーッ!!


 なんだろう。カーテンを開けて覗いてみると男が何かを割っている。道路の隅で男が何かを割っている。細い棒みたいな。あれはなんだろう??白い棒。体温計じゃないか。割られた体温計が山のように積まれている。まさかあの中に私の体温計も.....。


 ボギッ!!ボギーッ!!


「こらーっ!!体温計を折ってはいけませんーっ!!」


 男はこちらを見た。怪訝な顔をしている。


「どうしてですか?私がお金を払って買ったものです。」


 え!!そうだったのか!!


「そうでしたか!!失礼しましたーっ!!」


 体温計はベッドの下から見つかった。


 ボギーッ!!ボギーッ!!


 外からはまだ音がする。


 完

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