ユーゴスラビア大陸にはたかしくんが住んでいた

 ユーゴスラビア大陸にはたかしくんが住んでいたのだけど、どこまで行っても終わりがなく人生には終わりがなく、終わりがない。ウキーッ!!ああ、もう疲れたよ。明日からは通っている小学校で清掃週間が始まる。清掃週間が始まると清掃時間が5分増える。ゴミをいつもよりも少なくすることが出来るんだ。

 ユーゴスラビア大陸に住んでいる人間はユーゴスラーと呼ばれているが昨今これが怪獣のようで差別的だということであちこちで炎上している。ジョナサンは清掃週間のことで頭がいっぱいのようで全くこのことには興味がないようだ。たかしと協力して清掃週間を最大限に活用し、教室を綺麗にしてやるわと張り切っているの。ジョナサンには彼氏がいるのだけどみんなには内緒にしているようでマル秘マンと呼んでいるということが最近の研究でわかってきた。「はーい。じゃあ授業を始めるぞー!!」担任の先生が教室に入ってきていったけど誰も聞いていない。なぜならみんな清掃週間のことで頭がいっぱいだからだ。午前9時。始業のチャイムがなる。


 ドガーーーーンッ!!


 チャイムの音は生徒たちの鼓膜を破壊し学生たちを音信不通の存在にする。先生の声は文字通り誰にも聞こえなくなってしまった。緊急事態。予定を変更し朝から晩まで手話の授業をしなければいけない。そう、チャイムの音は生徒の鼓膜だけでなく清掃週間も吹っ飛ばしたのだ。悲しみに暮れる生徒たち。特にジョナサンは辛かった。ジョナサンが清掃週間を人一倍楽しみにしていたことはみんなわかっていた。手話の授業が始まったがジョナサンは堪えきれず一人涙を流していた。


「ジョナサンの涙を集めてザリガニ用の水槽を作ろうよ。」


 学級委員のマイケルが大声を上げた。だが誰にも聞こえなかったのでマイケルはたたたたっ!!と黒板の前に走り出て「ジョナサンの涙を集めてザリガニ用の水槽を作ろう。」と書いた。いいアイディアだな、ポールもドロシーも思った。「こらっ!!授業中に立ち歩いてはいけませんっ!!」先生は怒ったが誰にも聞こえなかった。ああ、聞こえないんだった!!と思った先生は手話で「授業中立ち歩いてはいけません。」と表現したけどまだ誰も手話を読めなかったので意味がなかった。さっそくジョナサンの机の上に水槽が置かれ、ポツ、ポツ、ポツ、ポツ、とジョナサンの涙が溜まっていった。それはまるで時計の針がチッチッチッと確実に進んでいくようだったけど、とうとうそこにザリガニが入ることはなかった。


 完

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